山梨県の静かな町に、世代も背景も異なる人たちが集い、肩を並べて温かな会話を交わすカフェが話題を呼んでいる。店主・橋本理恵子(72)が営む「たんぽぽ茶房」では、“平等のテーブル”と名付けられた特別な席を設置し、年齢や性別、国籍、障がいの有無も超えて、誰もが対等に語り合える空間が広がっている。
この“平等のテーブル”は、ある日常連客の本田沙耶(23)が、海外から来たばかりの交換留学生と意気投合したことから生まれた。「最初は言葉の壁でなかなか会話が弾まなかったけど、一緒におばあちゃんの作るカレーを味わううちに、自然とお互いのことを話せるようになった」と沙耶さん。その光景を見た橋本さんは、「もっと多くの人がラベルや肩書きに縛られず、“一人の人間”として向き合える場所を作れたら」と席を設けることを思い立ったという。
このテーブルには小さなルールがある。それは、初対面同士や世代、立場の違うゲストがランダムに同席し、お互いにそれぞれの『大切にしていること』を紹介し合うこと。「ジェンダーギャップや多様性について語り合う人もいれば、手話や外国語で簡単な自己紹介をして拍手が起きることも」と橋本さん。高校生や子育て中の親、シニア、海外からの観光客など、幅広い層がひとつのテーブルで交流する姿が日常的な風景となっている。
SNSには「たんぽぽ茶房で人生初めて、車椅子の方とお話しできた。人としての魅力に元気をもらった」「世代も国籍も違うのに、あたたかなスープと会話で心がほぐれた」など、感動の声が多く寄せられている。ダイバーシティ研修を行う大学講師の山田瑞穂氏は、「こうした自然発生的な取り組みこそ、ソーシャルインクルージョンの本質。肩書きを外し“あなた”として出会う経験は、教育現場でも取り入れたい」と語る。
最近では地域の小学校もこのカフェの“平等のテーブル”に着目し、「なりたい自分発表会」を実施。子どもが将来の夢を自由に語り合える会を開催し、地域の大人やシニアが温かなエールを贈る活動へと発展している。橋本さんは「違いを認め合い、誰もが心を開ける場に。小さな町からでも、この優しさが大きな輪になったらうれしい」と微笑んだ。
コメント
子育て中の母親として、こういうカフェが近所にあったら絶対に子どもと行きたいです。うちの子も色んな世代や国の方と自然に話せるようになれたら本当に素敵だなと思いました。橋本さんの優しさに感謝です。
72歳の私にも、まだまだ新しい出会いがあるんだと勇気をもらいました。若い人たちや海外からの方とも話せる場所、昔にはなかったですね。いつか山梨に行ったら、ぜひ平等のテーブルを体験したいものです。
学校の授業だけじゃ絶対できない体験だと思う!カフェって大人の場所ってイメージあったけど、こういう交流の場なら友達とも行ってみたいです。自分の『大切なこと』、大人に話すのはちょっと緊張しそうだけど楽しそうです。
たんぽぽ茶房さん、時々歩いて前を通ってますが、ほんわかした雰囲気が店先まで伝わってきます。この平等のテーブルが町のみんなにとって安心できる居場所になっているんですね。うちの小学生の孫も参加させてみたいです。
私は留学生で日本語がまだ上手く話せませんが、こういうカフェがあるととても安心します。食べ物と笑顔で言葉の壁が少し消えますね。橋本さん、ありがとう!