フリマアプリが生んだ“未使用品リレー”で町が笑顔 売上金の奇跡的循環が話題に

日の差す港町の静かな道で、見知らぬ二人が手渡しで小包を交換し、優しく微笑み合う様子。 フリマアプリ利用
未使用品リレーが育む、綾浜町の日常に溶け込む優しいつながり。

スマートフォンのフリマアプリを通じ、繋がるはずのなかった人々の日常に小さな奇跡が生まれ始めている。人口7千の港町・綾浜町では、未使用品が思わぬ形で人々の手元を巡る“リレー”現象が静かな話題を呼んでいる。

発端は町内に住む柴山亜海(しばやま あみ・28)、自身のプロフィールに「必要なくなった幸せを誰かのもとへ」の一言を添え、趣味だった手芸キットを出品したことから始まった。その入札者・小田切鷹也(おだぎり たかや・41)は、週末ごとに海辺を散歩する、最近フリマアプリデビューした会社員だった。届いたキットを受け取った小田切は「ガイドに“どうか次の誰かへ”の手書きメモが挟まれていた」と感激し、仕上げた作品を再びフリマで新たな誰かのために出品したのだ。

この『未使用品リレー』は偶然一度きりではなかった。もと教師の吉地美夏(よしち みか・63)は、孫からもらった新品トレーナーを、プロフィール必読欄に「暖かさのお裾分け」と添えて出したところ、数日後に『いただいた売上金の半分で地域図書館へ絵本を寄贈したい』という購入者のメッセージが届き、心から温かな気持ちになったという。こうしたやり取りが町のあちこちで重なり、やがてアプリ内には“綾浜リレー”と呼ばれるコメントやタグが広がり始めた。

さらに奇跡的な循環を生んだのが、アプリ側主導の期間限定キャンペーン「リユースでスマイル」。この期間だけは、リレー出品に参加したユーザーの売上金の5%分が地域支援プロジェクトに自動で寄付される仕組みだ。実際、キャンペーンで集まった資金は町内の子ども食堂や高齢者向けの移動スーパー運営に活用された。売る側も買う側も、見ず知らずの“誰かにギフトを届ける共同体”の一員となる体験に、思わず顔がほころぶという。

アプリを運営する担当者は「普段はトラブル対応が主な仕事ですが、今回は“幸せの相談”が増えて笑顔の日々です」と語る。SNSでも『知らない人同士でも、優しさをつないでいけるって素敵』『購入品に写真付きの“ありがとう”メッセージが届くなんて初めて!』といった声が寄せられている。家にあふれる未使用品が、誰かの役に立つとともに、町の温かな絆をも育む――フリマアプリの新しい可能性が、ここ綾浜町で静かに芽吹いている。

コメント

  1. 子育て中の身として、こういう優しさのリレーが当たり前になったら素敵だなぁと思います。家でも子どもたちに“ものを大事にして、誰かのためにできること”の話をしてあげたくなりました。綾浜町のみなさんの行動にほっこりしました!

  2. 学生です。テストや部活でピリピリしちゃう日々だけど、こんな温かい話にふれてめっちゃ心が和みました。知らない誰かと優しさでつながるのって、ちょっと憧れます。自分も何かチャレンジしてみたいです!

  3. 私は昔から、おすそわけやお下がりが町内で当たり前でした。今の時代はアプリで、新しい形になっているのですね。若い人も年配もこうやって支え合っている町が、ほんとうに素晴らしいです。

  4. うちの近所でも“綾浜リレー”のうわさ聞きました♪ 何だか町の雰囲気がじんわり明るくなった気がします。こういうニュースをきっかけに、私も家に眠ってる物を見直したくなりました。

  5. 普段フリマアプリって、お得とかレア目的だったけど、誰かのために巡るって発想に衝撃。売上が地域の子ども食堂や移動スーパーにまで回るの、理想的すぎる。こういう優しさの連鎖、全国どこでも広まったらいいのに。