全国でも珍しいと評判の町が生まれている。兵庫県北部の温泉地・笑江町では、住民の交流を深めようと町独自の動画配信サービス「スマイルシネマ」を立ち上げ、老若男女がひとつのアカウントを“みんなで”使う形が導入された。映画やアニメ、ドキュメンタリーのジャンルを超えて、見たい作品をリクエストできるという画期的な仕組みに注目が集まっている。
サービス開始のきっかけは、町内唯一のテレビ修理店を営む花村進一さん(62)が「お年寄りも子どもたちも、家で同じ作品を楽しめる仕組みがあればいい」と役場に相談したことだった。高齢化が進み、娯楽や話題が乏しくなりがちな町の実情に対して、「みんなで同じ番組を見て、感想を語り合えば寂しくならないはず」と花村さんは語る。その呼びかけに共感した町長の大森貴子さん(55)が自治会と連携、配信会社と交渉し、住民全員が登録できるアカウントを実現した。
驚くべきは、その使い方だ。町内に設置された『リクエストポスト』に観たい作品を書いて入れると、集計係の職員や学生ボランティアが毎週ジャンルごとに選出。アニメ好きの小学生・新庄結菜さん(10)は『みんなでパーティーモードで一緒にわいわい観るのが楽しい!』と目を輝かせる。『この前は昔のドラマ特集。おばあちゃんの思い出話に花が咲いて、知らない時代の楽しい話が聞けた』と中学生の藤原直斗くん(13)も笑顔を見せる。
また、『スマイルシネマ』では“おすそ分け再生”というユニークな機能が話題だ。人気作を一斉に視聴すると、オンライン上で『町民パーティー部屋』が自動生成され、最大200人まで同時参加できる。チャット欄には町内なまりの“ほっとコメント”が飛び交い、日常の小さな出来事や料理のコツなどもやりとりされる。遠くに住む卒業生や里帰りできない人も参加でき、『離れていても、画面越しに町の温もりが感じられる!』という声がSNSで広がった。
この取り組みには、専門家も大きな期待を寄せている。地域メディア研究家の原田陵太氏は『別々の家にいても共通の話題を持ち、記憶や感動を分かち合える。バーチャル上の“団らん”が、地域の実存的な絆となる好事例だ』と評価した。将来的には他地域へのノウハウ提供や、海外配信による“国際町パーティー”構想も進んでいるという。町じゅうがひとつの大きなリビングとなり、今日もまた“スマイルシネマ”の光が家々を結んでいく。
コメント
うちも小学生の子どもがいるので、こういう仕組みがあったら毎日の話題が広がりそうです。家族やご近所さんと同じ映画をリアルタイムで見て語れるなんて素敵ですね。羨ましい町です!
町中みんなで同じ番組を楽しむというのは、昔のテレビドラマの時間を思い出しました。若い人たちとも共通の話ができるし、こんな優しい取り組みが増えるといいなあと思います。
めっちゃいいやんこれ!推しの作品をみんなで見たあとにチャットで盛り上がれそう。町外でも参加できるって、卒業して離れてる友達とも繋がれるの嬉しいかも〜。
おすそ分け再生、名前もかわいいしアイデアが温かくて好きです。お料理のコツとか日常の話もチャットでできるなんて、毎日がもっと楽しくなりそう。町長さんや花村さんの行動力に拍手!
こういうの、うちの地域でも真似してほしい……。家族じゃなくても温かいネットの使い方があるんだなあとしみじみ感じました。ニュース読んでホッコリしました。