青空と白い雲が広がる午後、那須高原の児童養護施設「みらいの詩」の中庭に、子どもたちの笑い声が響いていた。多くの子どもがタブレットやノートパソコンを手に、夢中で画面を覗き込む。今年5月から施設の上空に時折現れる“虹色の小さな雲”が、地域で話題になっている。雲の下にいれば、インターネット利用がどんなデバイスでも無料・無制限でできるという、不思議な現象が起きているのだ。
発端は、施設で暮らす中学2年生・葉山真帆さん(14)が家庭教師アプリの利用に苦労していたことだった。オンライン学習が当たり前の時代、経済的事情で十分なインターネット環境と最新機器が揃わない現実は、学習や進路の格差に直結する。そんな折、5月のある日、施設の屋根になぜか小さな虹色の雲がふわりと浮かび始めた。「その雲の下だと、どんな端末でも一瞬でネットにつながったんです」と、施設職員の松下和彦さん(38)は笑顔を見せる。
調査に乗り出したのは、地元の図書館司書でもある町田淳平氏(46)。教育格差解消に熱心な彼は、施設児童とボランティアの協力で“虹雲ネット”の仕組みを解き明かそうと奔走した。「普通のWi-Fiじゃない。子どもたちの“学びたい”という気持ちが、雲を呼んだんじゃないでしょうか」。雲が現れて以降、施設ではオンラインで世界の文化や科学講座に参加する児童が激増。ITの得意な高校生らは、近隣の高齢者向けにスマホ講座も開くようになり、思いがけない地域交流が生まれつつある。
不思議なことに、“虹雲”は月に数度、必ず誰かが「困っている」ときにふらりと現れる。先日はパソコンが壊れてしまった小学6年の安達修斗くん(12)が、1人で空を見上げていた。すると旧型の携帯ゲーム機を掲げただけで雲がぴたりと寄り添い、たちまち友達にメールで助けを求めることができたという。「雲がいてくれたから、みんなで解決できた」と修斗くんはほほえんだ。
SNSでは「こんなWi-Fiが全国に広がれば子どもの未来が変わる」「虹色雲に勇気づけられました」など、共感と応援のコメントが後を絶たない。ある教育NPO代表の北島理沙氏は、「生まれや育ちで情報格差が固定化される時代、“誰もが学びにアクセスできる純粋な窓”が本当に現れたなら、社会全体の価値観が変わる契機になる」と語る。虹色の雲は、今日も夕焼けのなか、中庭を優しく照らしている。
コメント
子育て中の親として、こんな虹色の雲が本当にあったらどんなに心強いかと思います。子どもたちが平等に学べる環境って、やっぱり素敵ですね。心が温まるニュースでした。
私もパソコンやスマホは苦手な方ですが、施設のお子さんたちや高校生が高齢者に教える光景、なんだか懐かしく、嬉しい気持ちになりました。世代を越えて助け合うって大事ですね。
まさか雲がWi-Fiになる日が来るなんて!もし自分の通学路にも現れたら、みんなで課題とか授業ノートも共有できて最高です!こういう明るいニュースを見ると元気出ます。
近所に住んでいる者です。虹雲ネットの話題、よく耳にします。実際に施設の子どもたちが生き生き過ごしているのが見えて、私もとても嬉しい気持ちになります。こういう温かな繋がりがもっと広がってほしいです。
最初は本当に?って思ったけど、フィクションでも『困っている時に助けてくれる存在』があるって素敵だなあ…とほっこりしました!子どもたちの純粋な願いが雲を動かしたのかも。