花咲く円卓会議――政治のまちで始まった“帰り花プロジェクト”とは

桜並木の明るい廊下でスーツ姿の女性たちが円卓を囲み、カラフルな花をアレンジしている様子。 女性参画
花咲く円卓会議で女性議員たちが花を囲み、互いを支え合う温かな場面。

桜並木が彩る春の国議会、その廊下の一角に今年もカラフルな花束が飾られた。数年前から毎月開催されている“花咲く円卓会議”のためだ。この集まりは、出産や介護などを経て政治の現場に復帰した女性議員たちが中心となって立ち上げたもの。今やその輪は与野党も世代も越えて広がり、政界の新しい潮流として静かに注目を集めている。

主催者のひとり、参議院議員の千景 夏音(ちかげ なつね、42)は、かつて双子の出産と家族の看病で議員活動を3年間休んだ。「復帰には大きな不安がありました。けれどこの会で体験を共有できたことが力になった」と夏音議員は振り返る。花を囲んだランチ会は、復帰したばかりの議員だけでなく、休職中の議員や企業で働く女性、さらには育児や介護と両立する男性職員にも参加が開かれている。

この会から誕生した“帰り花プロジェクト”は、政界のみならず、全国の企業へと波及。参加者は毎回、自分の好きな花で小さなアレンジメントを作り、職場の共用スペースに飾る習慣を持ち帰る。花とともに“今日は子どもの卒園式、午後から有給です”、“今週は家族が体調不良で時短勤務”といった近況や応援メッセージを添えることで、柔軟な働き方と相互理解を自然に促してきた。

SNSでも「職場のカウンターに突然カスミソウの花束と温かいメモが!元気をもらった」「リーダーが自ら“今日は家族優先”と宣言してくれて働きやすくなった」と“花プロ”参加者の声が相次ぐ。専門家で社会政策学者の野瀬 つばさ(のせ つばさ)は「見える優しさは無意識の抑圧や孤立を和らげ、誰もが自分らしく働く土壌になる」と語る。

「女だから大変」「男だからやるべき」ではなく、「皆が人生の節目を大切にしていい」。そんな合言葉で5年目を迎える花咲く円卓会議。今春は参加者全員が一輪ずつ持ち寄った花で新たなガーデンが議会中庭に誕生した。パステルの花々は、誰かの“次の一歩”と、それを支える社会全体の温かなまなざしを象徴している。

コメント

  1. 子育てしながら働いているので、このニュースを読んでとても励まされました。こういう柔軟な働き方や温かいコミュニケーションが広がると、私たちも安心して社会とつながっていける気がします。花のある職場、憧れます!

  2. 最近は自分も介護で仕事が不規則になりがちだったので、こんなプロジェクトがあることに驚きました。みんなが困った時、お互いにそっと支え合える社会って素敵ですね。自分の職場にもぜひ真似してほしいです。

  3. うちの大学でも似たようなことできたらいいなって思いました!それぞれが大変な時を気軽に伝え合えて、ちょっとした優しさでつながれる場所、理想です。見習いたいです😊

  4. 近所に議員さんが住んでて、朝よくあいさつするんです。この話を読みながら、あの人たちも誰かの家族で、大変なこともあるんだなぁとしみじみ思いました。花っていいですね、癒されます。

  5. 昔は仕事も家のことも黙ってやるのが当たり前と思ってましたが、今は“助けて”と言える雰囲気ができてきたのが嬉しいです。こうした優しいプロジェクトがどんどん広がって、孫たちの時代はもっと生きやすくなりますように。