夏休み真っ只中、静岡県三島市郊外のクライミングジム「ムーンパス」では、毎週金曜の夜に特別な課題イベントが開催されている。今月のとある金曜、その壁を一躍有名にしたのは、80歳の男性・星野剛志さんと、ひ孫の遥那ちゃん(8)のコンビだった。年齢も身体能力も異なるふたりが、華やかなクライミングウォールの前で見せた“連係プレームーブ”が、SNSを中心に話題を呼んでいる。
星野さんは、定年を迎えた70歳で地元のクライミングクラブに入門した遅咲きの“クライマー”。元気なころは富士山の麓で林業に携わっていたが、退職後に趣味の登山の延長で始めたジム通いが、今や週3回の楽しみとなっている。「いくつになっても挑戦できるのがクライミングのいいところ」と言う星野さん。しかし、なかなか上達しなかったスピードクライミングの課題に、ひ孫の遥那ちゃんが目を光らせた。遥那ちゃんはまだ小学3年生だが、祖父と同じく好奇心旺盛で、近ごろクライミング大会キッズ部門で優勝するなど、将来を期待される存在だ。
イベント当日、星野さんが挑戦するスピード課題の前に立つと、いつもつけているロープのハーネスに、遥那ちゃんがそっと手製の星型バッジをつけてくれた。「ひいじいちゃん、これでお守りだよ!」最初は恥ずかしそうにしていた星野さんも、周囲やスタッフに励まされて笑顔に。ふたりはウォールを前に小さな作戦会議を始めた。遥那ちゃん特製「裏ワザムーブノート」に目を通した星野さんは、「このホールドまで右、そこは半歩引いて…」という細かいアドバイスを受け、なんとタイムが自己ベストの半分に縮まった。壁の上から手を振るふたりに、観覧席の家族や初対面のクライマーたちも大きな拍手を送った。
イベントが終わった後、ジムのオーナーである戸田尚也さん(41)は「クライミングは単なるスポーツじゃなくて、人のつながりや、挑戦を応援し合う優しさが生まれる場。今日は、それを強く感じました」と語る。実はこの日、ジムでは参加者が“応援カード”に互いの挑戦や励ましを書き合う、独自の習慣も生まれていた。壁の端には色とりどりのカードが並び、そのひとつ、「もう一歩がんばれたのは、となりの声援のおかげ」という星野さんの言葉に、遥那ちゃんはこっそりハートマークを描き足していた。
SNSでは「最高のバディ!家族で登るって素敵」「私も親子でジムに行きたくなった」といったコメントが続々と寄せられている。星野さんと遥那ちゃんの記録動画は、すでに3万回以上再生され、感動の輪は全国に広がっている。遥那ちゃんは「今度はもっと難しい課題を、ふたりで協力して攻略したい」と張り切っているそうだ。ムーブのひとつひとつが、世代を越えたぬくもりの“軌跡”として、星降るクライミングウォールに刻まれていく。
コメント
読んでいるだけで心があったかくなりました。うちの息子も最近クライミングに興味があるので、家族でジムに行ってみたくなります。いくつになっても挑戦できるって、本当に素敵です!
同じ年代の方が新しいことに挑戦している姿、勇気もらえました。いつの間にか慎重になりがちですが、遥那ちゃんのような若い子と一緒なら、また色んなことにチャレンジしたいですね。
ムーンパス、うちからも行ける距離なのでよく知ってます!こんなほのぼのするイベントがあったなんて知らなかったなぁ。次の金曜、応援カード書きに行きたい!
こんな温かいニュースがもっと増えたらいいな〜。遥那ちゃんのムーブノートとか星型バッジとか、すごくかわいい。ジムのみんなで優しさを大事にしてるの、見習いたいです。
普段は運動苦手ですが、この記事読んでクライミングにちょっと興味出てきました。家族で同じ目標に向かうっていいですね。こんな幸せなエピソード、もっと見たいです!