パスワードが写真になる日 高齢者施設で広がる“思い出ログイン”革命

老人ホームの談話室で高齢の女性が孫と一緒にタブレットの写真を選んでいる様子。 デジタルライフ
思い出の写真を選ぶことで、家族との会話と笑顔が広がっています。

「おばあちゃん、今日はどんな写真を使う?」孫の問いかけに、施設の談話室が明るい笑顔で包まれた。全国の高齢者施設で今年から導入が始まった“おもいでパスワード”アプリが、シニア世代と家族の日常をやさしく変えている。

このアプリは、従来の複雑な英数字ではなく、家族や友人、思い出の場所やペットといった『自分だけの大切な写真』をパスワード代わりにしてデジタル生活へアクセスできる仕組み。特に80代の鈴木和子さん(82)は、毎日ふた昔前の商店街で撮った母親との1枚を選び、「今日もこの写真でメールを見るわ」と嬉しそうに操作する。

導入の背景には、一人ひとりの思い出に寄り添いながらも、セキュリティを守りたいという施設側の願いがあった。開発に携わったITサポーターの茂木透也さん(29)は「単なる画像選択ではなく、AIが写真ごとに持つ“想い出の深さ”を認識。定期的に別の大切な写真に促すので、認知機能の維持にも役立っています」と語る。

最近では、入居者同士が互いの写真に興味を持ち、自然な会話が生まれるという副次的な効果も現れている。料理教室のある午後、「この猫はどこで飼ったの?」「私の山の家ね」など、本人にしかわからない小さな物語がふくらみ、共用パネルにはみんなの笑顔が並ぶ。施設スタッフの松岡夕紀さん(45)は「写真共有の時間は、まるで動画配信のライブチャットみたい。お互いの記憶を褒め合う、素敵な文化ができました」と目を細める。

SNSにもこの取り組みは広まっており、「母が入力ミスを恐れず自信を持ち始めた」「デジタル写真が親子の会話のきっかけに」といった声が溢れる。専門家の湯浅美佐子教授(フィンテック研究者)は「“思い出”というヒューマンタッチが、最先端技術と心のつながりを両立させた好例」とコメント。今後は、世代を超えて家族や地域の絆が“写真パスワード”から育まれるデジタルライフが各地で根付いていきそうだ。

コメント

  1. 高齢の母も最近スマホに挑戦してますが、パスワードでいつも困っていました。このおもいでパスワード、子どもや孫との写真を選ぶのなら楽しく覚えられそう!こんな優しい発想、どんどん広まってほしいですね。

  2. いやあ、昔の写真を見ながらパスワードができるなんて夢みたいだねぇ。友達とも自然と話が弾みそう。わしらの世代にはありがたい時代じゃな。

  3. ITの勉強している大学生ですが、人の“気持ち”に寄り添った技術って本当に素敵だと思います!AIも使ってるのも時代だなぁ。自分のおばあちゃんにも勧めてみたいです。

  4. うちの店にも施設の皆さんがパンを買いに来てくれるけど、こんな話を聞くとほんと心があったかくなります。人の思い出がセキュリティになるって、なんかいいなぁ。

  5. 写真がパスワードって、最初は驚いたけど、よく考えたらうちの親も文字入力よりずっとラクそう!あの猫のエピソードもすごくかわいくて、読んでほっこりしました。私も家族写真をもっと撮ろうって思いました♪