“やさしさタイムライン”が全国で話題に SNSが見せた思いやりの輪

暖かい光が差し込むリビングで、高齢の日本人女性が手描きの絵本を読み、横のノートパソコンにはSNSの応援メッセージが表示されている様子。 ソーシャルメディア
やさしさが連鎖するSNSから生まれた絵本にほほ笑む栗山さん。

いま、多くの人が暮らしの中で欠かせなくなったSNS。そのタイムライン上で巻き起こった、誰もが心温まる“やさしさ”の連鎖が注目を集めている。SNS疲れと呼ばれる現象すらしばしば話題となる一方で、デジタルの海の彼方から思わぬ幸せが押し寄せてきた。

始まりは小学校教員の結城しのぶ(38)が自身のアカウントで投稿した、手作りのお守りの写真だった。「生徒がそっと机に置いてくれたお守り。今日も頑張れそう」と添えられた一文に、見知らぬユーザーから次々とハートや「ウケる!」のコメントが届いた。しかし本当の“バズ”は、見た人々が自然発生的に“やさしさ”をリレーしたことだった。自分がもらってうれしかった小さな思いやり、近所の人とのほっこりエピソード、愛猫がくれた癒やし…。#やさしさタイムライン のハッシュタグには、一日で2万件を超える投稿が寄せられた。

この流れはあっという間に国内の様々な世代に波及。中でも印象的だったのが、長野県在住のシニア、栗山政子さん(72)がアップしたAI生成画像をもとにした手描き絵本だ。SNS初心者の栗山さんは「難しいことは苦手だけど、時間だけはたっぷりあるから」と、AIでアイディアをもらいながら、友人たちや孫に読んでもらう“ほめ言葉だけの物語”を作成。その画像と温かな物語に、「最近SNSを見るのがちょっとつらかったけれど、この絵本に救われた」「自分も誰かのタイムラインにやさしさを届けたい」など、ダイレクトメッセージが後を絶たなかったという。

やさしさタイムラインの潮流はインフルエンサーの間でも広がり、小鳥の世話を続ける会社員(24)が通勤途中で保護した子雀のショートムービーを投稿。感動的なバズとなり、動画の最後には「今日も誰かのぬくもりに出会えた」とテロップが映し出された。その影響で“ペットにやさしくする投稿”が相次ぎ、なんと動物保護団体の公式アカウントが「みなさんのやさしい投稿のおかげで、今月のボランティア応募が過去最高になりました」と発表。SNS本来のちからを感じさせる出来事となった。

専門家の藤堂将弘教授(社会コミュニケーション学)は「SNSには時に批判や炎上が見られますが、一人のやさしさが予想外の広がりを生むことも証明されました。フィルター越しでも、温かな感情は画面を飛び越えて届くんです」と解説。SNSを使う多くの人々が新たなつながりや励ましを感じ、「やさしさは伝染する」という言葉の意味を再発見した週だった。どこまでも優しい“やさしさタイムライン”、この小さな奇跡が、これからの日常の中にもっと増えていきそうだ。

コメント

  1. 子育て中の身としては、こういう優しい話題を見ると本当にほっとします。SNSって怖い面もあるけど、やっぱり人のあったかさが伝わるのは嬉しいですね。私も子どもに優しくしてもらったエピソード、今度投稿してみます!

  2. 最近のSNSは若い人向けばかりかと思うてたが、栗山さんみたいなお年寄りも活躍しててうれしいわい。手描き絵本、読んでみたくなった。やっぱりやさしさって、いくつになっても大事じゃのう。

  3. 普段はSNSあんまり使わないけど、#やさしさタイムライン見てると自分も何か良いことしたくなる!学校でも友達にちょっとした親切、やってみます。なんか勇気出る記事でした。

  4. 記事を読んで朝から心が温かくなりました。うちの店でも常連さん同士が自然にあいさつしてるのを見て、やさしさって日常の中にたしかにあるなぁと実感します。忙しい日々で見逃しがちだけど、これからも大切にしたいです。

  5. SNSって、どうしても悪い面が取り上げられがちですよね。でも、こうやって人の優しさが波のように広がってるって知ると、自分も前向きになれます!子供と一緒にやさしさ投稿、今度挑戦してみようかな。