多言語おしゃべり非常持ち出し袋が町に笑顔を届けた日

大阪の公園で多世代の人々が赤い布で包まれた非常持ち出し袋を手に集まっている様子。 防災意識
多世代が集い、おしゃべり機能付き非常持ち出し袋を体験する桜川町の公園風景。

新緑がまぶしい午後、大阪府桜川町の公園で、ひときわ賑やかな集いが開かれていました。それは、町内会の主催による「みんなで防災・おしゃべり非常持ち出し袋体験会」。子どもからシニアまで、おそろいの赤い布で包まれた不思議なバッグを手に、見慣れた広場に優しい笑い声が響きました。

この日、イベントの主役となったのは、町内会婦人部と多文化共生部が共同開発した“多言語おしゃべり非常持ち出し袋”。さらに、町の高校生グループ「サクラ防災キッズ」もアイデアを寄せ、英語、中国語、ウクライナ語、日本語を自在に切り替えながら、防災アドバイスや応急手当の手順を音声でガイドしてくれる「おしゃべりモジュール」を取り付けました。片手サイズの端末に「こんにちは、何かお困りですか?」と話しかけられ、子どもたちは興味津々。町内に住む外国籍の家族も、安心して使い方を学べると好評でした。

「去年の台風のとき、不安で泣いていた娘も、もしこのカバンがあればきっと安心できる」——こう話すのは、保育士の谷岡美徳(38)。乳児用紙おむつやアレルギー対応食、女性用の衛生用品など、多様なニーズに合わせて詰め替えが可能なこのカバン、婦人部の立花さよ子(62)は「災害時こそ、誰もが“自分らしくいられる”備えが大事だと気づいたのです」と語ります。職場でも家庭でも、一人ひとりの困りごとに寄り添う発想が、地域での備蓄や救急セットの見直しを促しています。

町役場の藤代建(54)は、“紙おむつ問題”の新解決策として、地元の繊維事業者・学生が協力して開発した、再利用可能で抗菌性も高いサステナブルおむつも配布に加えたといいます。「町内会のつながりが、ハザードマップの更新作業や気象警報の早期伝達にも役立った。今年は『防災の日』だけでなく、毎月1回の『みまもり・備蓄デー』を近くのカフェと共同開催する予定です」。コーヒーを片手に、防災について談笑する光景は町の日常になりつつあります。

SNS上では、「おしゃべりバッグのやさしい声に癒やされた」「袋のなかのお守りカードを、隣の国の友だちと交換した」と喜びの声があふれました。サクラ防災キッズの代表・野元里穂(17)は「災害のときだけではなく、ふだんの暮らしの中でも“困ったときは助け合う”が合言葉になれば」と微笑みます。誰もが安心して暮らせるように——町の優しい工夫が、今日も新しい絆を生み出しています。

コメント

  1. 小さい子どもがいる親として、とても心強いニュースでした!災害時にいちばん不安なのは子どものこと。多言語でわかりやすくサポートしてくれるなんて、全国にも広まってほしいです。町内のみなさんの優しさが伝わってきて、読んでいてほっこりしました。

  2. いやぁ、昔にはなかった取り組みでびっくりしました。年寄りには機械ものは苦手ですが、『お困りですか?』と声をかけてくれるなんて、うれしいもんですね。カフェで防災談義なんて、なんだか若返った気分になりそうです。

  3. うちも外国ルーツの家族なんで、こういう多言語対応の防災グッズはとてもありがたいです。みんなで体験できるイベントがあると一体感も強まるし、不安も減る気がします。桜川町、素敵だな〜!

  4. 自分もボランティアで防災活動に参加してるから、サクラ防災キッズの取り組みにすごく共感します!若い世代がアイデアを出し合って、地域全体がよくなってる感じ、カッコいいし憧れます。

  5. この前の公園イベントで、実際におしゃべりバッグを使ってみました。使い方も簡単だし、いろんな国の方とも自然に話せて、懐かしい気持ちになりました。町のみんなが安心して笑顔でいられる、そんな日常がこれからも続いてほしいです。