家族の絆を深めるための新しい取り組みが、静かに人気を集めている。今年の夏、奈良県大和郡山市に住む田淵壮太郎さん一家(両親と小・中学生の三姉妹)は、“家族内カフェ交換デー”に初挑戦した。それぞれが一日だけ、普段とは逆の役割を演じ切るユニークな家庭イベントだ。この取り組みがSNSで拡散されると、「わが家もやってみたい」「家族の温かさを再発見した」といった声が各地から届いている。
田淵家で行われたカフェ交換デーは、朝の開店準備から始まった。普段は家事担当の妻・恵美さんが“お客さま係”になり、お父さんの壮太郎さんと次女の紗智さん(10)は“厨房コンビ”、長女の琴葉さん(13)は“店長”、三女の葵さん(8)は“ウェイター”役に挑戦。メニューは、家族それぞれの『一番好きな朝ごはん』。フレンチトーストや味噌汁、ホットサンドが次々とテーブルに並ぶ。役割交代による気づきや失敗も多かったが、家族全員から自然な笑いがあふれ、思い出深い時間になったという。
「ふだん私は料理をしてもらって当たり前だと感じてました。でも娘たちと一緒にキッチンに立って、母のレシピを再現しようとしてみて…本当に大変なんだと知りました」と田淵さんは語る。琴葉さんも「朝から家族みんなで本気で“お店ごっこ”をするのは初めて。妹たちがしっかりお客さまに対応していて、ちょっと感動しちゃいました」と、うれしそうに話した。
この取り組みは、朝食後の“ふりかえりタイム”で最高潮に達した。「手伝ってもらえて嬉しかった」「お父さんがふだんより穏やかだった」など、素直な感謝や新たな発見が家族から次々とあがる。スマートフォンで朝の様子を撮影していた長女は、「みんなが笑ってる写真がたくさん残った」と振り返る。その日の午後、SNSにアップされた動画には、全国の共感コメントが殺到した。
こども家族学専門の池ノ上咲子教授(社会福祉学)は「家庭内での役割交換は、ワークライフバランスや生活の見直しにも役立ちます。本人の体験こそが、家族の優しさや苦労の理解に最もつながる」と語る。最近は、この“家族カフェ交換”チャレンジを友人家族やご近所どうしでアレンジし、地域ぐるみのイベントとして発展させる例もあらわれているという。
実際、田淵家の事例に刺激を受けた人たちが、オンラインでレシピや体験談、感謝のお手紙をシェアし合うコミュニティもできつつある。「家の中がちがう場所みたいになって、もう一度家族旅行したみたい」と話す参加者も。お互いの立場になりきってみる小さな冒険が、家庭団欒の時間を新たに彩っている。
コメント
とても素敵な取り組みだと思います!うちも子どもたちとお店屋さんごっこはしてきましたが、家族みんなで本格的に役割を交換するのは新鮮ですね。今度の週末、わが家でもチャレンジしてみようかなとワクワクしました。
昔は家族みんなで畑仕事したり、支え合うのが当たり前でしたが、こうして楽しみながら役割を体験できるなんて今の時代らしいですね。孫たちとも是非やってみたい。心がほっと温かくなりました。
うちも3姉妹だから共感ポイントたくさん!普段の家事やお手伝いのありがたさ、実際にやると本当に大変なんだよね。みんなが笑ってふりかえりするって、なんかいいな〜って思いました!
わたしも近所のあの家族、ちょっと見習いたいです。普段お母さんが大変そうだから、子どもたちにも楽しく協力できるヒントになるかな。もし町内会でもこんなイベントできたら、みんな仲良くなれそうですね!
家族って毎日一緒にいると当たり前すぎて、お互いの役割や大変さって忘れがちですよね。こういう機会に感謝を伝え合えるの、めっちゃ素敵だと思います。自分も実家に帰った時やってみたいな。