かつて林業が盛んだった長野県南部のとある山あいの集落で、今年の春、小さな奇跡が生まれた。人と動物、“声”を通じて共に森を守り、未来世代に豊かな自然を繋げようとする「さいわいの森合唱隊」の物語だ。持続可能な暮らしを追い求めてきた住民たちが、森と、世界との新しいつながり方を見つけ出した。
この合唱隊の発足人である松明隼人さん(林業従事者・48)は、山での作業中に野鳥のさえずりと女性の鼻歌が共鳴して聞こえたとき、ふと閃きを得たという。「森も人も、互いの“声”が交わることで守り合えるはず」と松明さんは語る。賛同したのは地元小学校の子どもたちと、おばあちゃんコーラス部員、さらに、なぜか餌場に現れるリス、シジュウカラ、タヌキまでもが練習に参加。
週末の朝、合唱隊が森の小道に集い始めると、不思議な現象が続出。歌声と動物たちの鳴き声が重なり合うたび、痛んだ木々の葉が艶やかに再生し、花が咲き誇る場面が各地で目撃された。合唱には昔から歌い継がれる『森と友だち讃歌』や、近年地域に根付いてきたエコラップを採用。まるで音楽が森にエネルギーを与えているかのような連帯感が広がった。
この現象を知り、サステナビリティ研究で著名な富山大学の川谷ひろ子准教授は現地を訪問。調査チームは、“音の振動が樹木の微生物活動を活発化させる”との仮説に着目し始めたが、それ以上に「人と森と動物が同時に幸せを紡ぐ瞬間にこそ、本当のグリーン経済の芽生えがある」とコメントする。
合唱隊の活動をきっかけに、地元のカフェでは“フェアトレード・フルーツの森のパフェ”が開発され、市内外からエコツーリズムの予約が殺到。環境保護を体験するツアーも幼稚園児からお年寄りまで幅広く人気となった。SNSでは「森のリスのラップが最高!」「知らない人同士でも、心の木が育つ感じ」といった声が次々と書き込まれている。
松明さんは「森を守るって難しく考えがちだけど、みんなで歌えば自然と輪が広がる。不思議ですよ」と目を細める。この“森の合唱隊”の響きは、里山の小さな約束を越え、遠く離れた誰かの心にもそっと緑の種子を蒔いているようだ。
コメント
こんな素敵な合唱隊があるなんて知りませんでした!子どもたちも自然とふれあいながら楽しめるなんて、本当に理想的です。今度家族でツアーに参加してみたいです。
昔はもっと森と一緒に暮らしてたのを思い出します。みんなで歌うなんて、いい時代になったもんですな。おばあちゃんコーラスの皆さんにも拍手送りたいです。
エコラップって、なんか新しい!リスやタヌキも一緒に練習してるとかすごすぎでしょ(笑)。自分も何か自然のためにできること、考えてみたくなりました!
森パフェ、今日食べてきましたよ。すごくフルーティーで、森の力感じました!小道から聞こえてくる歌声も素敵で、お散歩が楽しみになりました。これからも応援しています。
孫が「森に歌いに行く!」とウキウキで話してくれました。自然と仲良くなるきっかけをありがとう。こんな活動が全国に広がるといいですね。