世界の味が集う“ミックスカフェ”、自宅をつなぐ心のグルメパーティー

世界中の家庭がそれぞれの食卓でパソコン越しにリモート乾杯をしている様子をリアルに描写した写真。 ニューノーマル食文化
オンラインで食卓を囲み、世界の家庭が笑顔でつながる“ワールド・ミックスカフェ”の一場面。

マンションの一室から始まった小さな集まりが、今や世界中の家庭をオンラインで結びつけている。各国の家庭料理を持ち寄り、リモートで食卓を囲むユニークなプロジェクト“ワールド・ミックスカフェ”が、じわじわと人気を集めている。画面越しに笑顔を交わしながら、それぞれの家にできたての料理が並ぶ光景は、まさに新しい時代の“おうちカフェ”の象徴だ。

この取り組みの発起人は、北海道在住の栄養士・柳川絵里(42)。ひとりで食事をする日が続いていたパンデミック中に、海外の友人と同時同時に冷凍グルメを温めながらオンラインで晩ご飯を共にしたのがきっかけだ。「電子レンジの“ピン”という音が重なった瞬間、なぜかすごく心が近くなった気がして」と絵里は振り返る。それから交流の輪はじわじわと広がり、現在ではアメリカ、韓国、フランス、エジプト、キルギスなど十数カ国から、週末ごとに数百人が参加するまでになった。

“ワールド・ミックスカフェ”では、それぞれの家庭が自国の伝統料理や創作レシピを考案し、レシピや食材、さらには栄養情報も事前に共有するのが特徴だ。オンラインの“料理教室”タイムでは、年齢や国を問わず互いのキッチンの工夫を披露し合う。とある回では、イタリアの家族が手作りラビオリの中身に韓国のチーズトッポギを入れてみたり、日本の高校生が作った“味噌ファラフェル”が人気を呼んだことも。それぞれの家の冷凍庫に保存しておいたグルメを食卓に並べることで、衛生面も考慮され、遠く離れていても安心して同じ味を楽しめるのだ。

また、参加者全員が自身の献立の栄養バランスを評価しあう“栄養午後カフェ”タイムも誕生。小学生のマーシャ・コバリョフさん(10・ウクライナ)は、「みんなでピーマンの葉っぱサラダを作った!わたしが先生だった」と嬉しそう。栄養士として柳川さんも「子どもたちが自分の体に必要な野菜を自分でプレゼンしてくれる。新しい国際交流の形ですね」と目を細める。

X(旧Twitter)や各国SNSでは「現地の香りが画面から伝わる気がする」「冷凍ミックスの新食感が家じゅうの幸せ」といった声が相次ぐ。参加者の一人、会社員のジョルジュ・ランベール(フランス・35)は「忙しくても、世界中の友人と一緒にごはんを食べられるのが一番のごちそう」と語る。オンライン越しに重なる乾杯の声や、食卓を飾るユニークな冷凍グルメのレシピ交換は、参加者たちの励みとなっている。あたたかい繋がりと、新しい“おうち”の食風景——テーブルは世界のどこにいても、きっと笑顔であふれている。

コメント

  1. 小学生の娘と一緒に読んでいて、とてもほっこりしました!いろんな国のご飯や文化を家にいながら知れるなんて素敵。親子で今度参加してみたいです。

  2. なんか面白そう!外に出づらい時代に、家で世界と繋がれるのって新しいし、レシピ交換とかもめっちゃ楽しそうです。友だち誘ってやってみたいかも。

  3. 昔は家族やご近所でご飯を囲むのが当たり前でしたが、今はこんな国際的な集まりが誕生するなんて…時代は変わっても、人とご飯を楽しむ温かさは変わらないのですね。

  4. いろいろな国の冷凍グルメも美味しそうだし、栄養のことまでしっかり考えてるのがいいですね!隣の部屋の方が、そのワールド・ミックスカフェに参加してたら今度声かけてみます。

  5. 世界中と繋がって同じご飯を食べる…想像するだけでワクワクします。遠い国の人と“おうち”で乾杯できるなんて、なんだか未来っぽくて素敵ですね!