古い家具が新たな役割を持って生まれ変わる街が現れた。青森県・北村町で開かれた“ランタン祭り”では、市内のリサイクルショップやアーティスト、住民たちが心をひとつにし、かつての思い出の家具たちがカラフルな灯りとなり、夜の街を優しく彩った。
祭りの中心となったのは、地元リサイクルショップ「ヒュッゲ」の店主・庄司貴彦(48)と高校生アートグループ「ミライヲ燈ス」。店に眠る不要な椅子やタンス、机の一部をアップサイクルし、地域の子どもたちや高齢者と一緒に“家具チョウチン”を制作。板戸はフレームに、引き出しは灯りのケースにと、素材の温かみを生かしつつ、町を代表する雪の結晶やりんごのモチーフで彩った。
制作過程には多世代の交流も生まれた。「私が小学生のころ使っていた勉強机の引き出しが、こんな素敵に生まれ変わるなんて」と感極まる声も。高齢者施設の森岡澄江(79)は、孫と一緒にペイント作業を担当。「思い出がまた町に灯るようで、心から嬉しい」と話す。祭り当日、メインストリートには大小100点を超える“家具チョウチン”が一斉に点灯。淡い光の道が人々の足元を照らし、通りが優しいざわめきに包まれた。
驚いたのはアート効果だけでなく、寄付型のアップサイクルが生んだ地域の絆だ。祭りの準備期間、家具の寄贈を申し出た市民は延べ200世帯。壊れたパーツの補修や清掃は、リサイクルショップのスタッフだけでなく地元の大工や電気屋、ボランティア主婦が交代で支えた。「モノを大切にする町の温かさを初めて実感した」と高校生代表の矢澤遥斗(17)は感謝する。
SNSには海外からも賞賛の声が続々。「循環型社会のエシカルな祭り」、「アップサイクルアートの新しい形」と拡散が止まらない。専門家の加賀見仁(サステナブルデザイン研究家)は、「思い出とコミュニティを灯す手作りの家具ランタンは、誰もが参加できるエコの象徴。廃棄物ゼロ社会への希望だ」とコメント。来年の開催にも注目が集まっている。



コメント
小学生の娘と記事を読みながら、こんなお祭りが近所にあったら絶対参加したいねと話しています!家具がみんなの手でランタンになって光るなんて素敵。思い出もキラキラする感じがして、温かい気持ちになりました。
子どもの頃使っていた茶箪笥が今も納戸に眠っています。捨てるのがもったいなくて…こういう形で地域に役立つのなら、ぜひ寄付してみたい。人が集まる場所に灯るって、とても良い試みですね。
学生ですが、こういう企画で世代を超えて交流できるのってほんと羨ましい!自分の描いたイラストが町を彩るランタンになったら絶対うれしいし、アップサイクルも学べて一石二鳥ですね。
うちもお手伝いしてみたいなぁ。普段は捨てるしかない古い家具が、町のみんなのための灯りになるなんて最高じゃん!あったかいイベント、来年はぜひ現地で見てみたいです。
読んでいるだけでホッとしました。思い出のものが町の人たちの繋がりをつくる“灯り”になっていくなんて、なんだか涙が出そうです。北村町の皆さんの優しさが伝わってきて、元気をもらえました。