日々多忙を極める現代社会で、遠く離れた誰か同士が“心を通わせる”仕事のやりとりはどこか夢物語のよう。でも、ある人気クラウドソーシングプラットフォーム「Onion Task」で、思わぬ「うっかり」から生まれた新しい助け合いの仕組みが一躍話題となっている。
事の発端は、フリーランス歴8年の野呂みずきさん(38)がデータ入力案件を受託した時のこと。依頼主の井上計輝さん(52)は、タスク説明文の最後に「玉ねぎを忘れずに」と添えていた。思わず首を傾げながらも、みずきさんは念のためコメントで確認。すると井上さんは「毎日仕事が遅くなって、帰りに玉ねぎを買い忘れてしまうんです」と本音をこぼしたという。
この何気ないやりとりをきっかけに、「今日の交換忘れ物」をタスク単価とは別に送り合う“ほっこりサブタスク”サービスが誕生。タスク完了後、みずきさんは手書きメッセージ付きの玉ねぎのイラストデータを送り、井上さんはお礼として自作のアレンジレシピファイルを返した。やりとりは口コミで拡がり、「Onion Task」運営も公式でプラットフォームに“忘れ物メモ機能”を実装。非公式ながら「カギ、牛乳、ハンカチ、勇気」など、タスクと一緒に“明日へのひと言”が全国のユーザー間で飛び交う事態に発展した。
この温かな風潮は報酬体系にも好影響をもたらしている。従来のようなドライな“1タスク=○円”だけではなく、心のこもったひと言やメッセージにもプラスアルファの“ごほうび”ポイントが付与される独自の評価制度が試験的に導入された。依頼主だけでなく受注者も、仕事のやりとりの中に小さな優しさや励ましを忍ばせることで、相互の満足度が格段に高まったという。
SNS上では“#今日も忘れ物タスク”が人気ハッシュタグに。ユーザーの山中むねおさん(27)は「知らない誰かから“あなたのがんばりを応援してます”と書かれていて、涙が出た」と投稿。クラウドソーシング研究者の牧瀬倫太郎教授(東京“未来共生”大学)は「人と人を繋ぐプラットフォームの真価は、優しい偶然が日常化した時にこそ現れる。今回の現象はデジタル社会に新たな人間味をもたらす」と語る。
デジタルに埋没しがちな現代で、画面越しの“ささいな忘れ物”がきっかけで生まれる互いへの思いやり。誰でも気軽に参加できる優しさの連鎖は、今や「Onion Task」発のムーブメントとして新しいワークスタイルへと広がっていきそうだ。



コメント
子育てしながら在宅ワークしています。きっとちょっとした優しさが、慌ただしい毎日の中で心の支えになるんですね。私も「勇気」や「おつかれさま」を送り合ってみたくなりました。素敵なサービスだと思います!
定年退職してから、こういうデジタルのお仕事は少し距離を感じていましたが、こういった人情味のあるやりとりが生まれていると聞いて、時代も捨てたもんじゃないなと思いました。温かいニュースですね。
まさか「玉ねぎ忘れ」がきっかけでこんなほっこりした流れになるとは!正直うらやましい…私も学生ですが、バイト先でこういうやりとりが増えたら、もっと頑張れそうだなって思いました。
近所の人との会話も少なくなったこの時代。オンラインでもこんな風に優しさが行き交うのって、本当に素敵です。うちの町にもこんな仕組みがほしいなぁ、としみじみ。
いや~、ネットの世界も悪いことばかりじゃないね。みんなの失敗やうっかりが、逆に優しさに変わるとか最高じゃん。俺もついつい鍵忘れるから、忘れ物メモ機能欲しい笑。