青い封筒に込めた“秘密の願い”──子どもたちと見守りうさぎ郵便の奇跡

青い封筒が溢れる郵便受けを子どもたちが笑顔で囲んでいる朝の児童養護施設の風景。 子どもの貧困問題
毎週届く青い“うさぎ便”の封筒に子どもたちの笑顔が広がります。

あたたかな朝の光が差し込む田園都市の一角。市内の児童養護施設、「虹色のいえ」に今春から、青い封筒に入った『うさぎ便』なる手紙が毎週届くようになりました。その中身は施設の子どもたちひとりひとり宛ての応援メッセージと、色とりどりの学用品。誰が、なぜ……?地域でささやかなブームとなっているこの“うさぎ郵便”の物語を追いました。

虹色のいえ施設長の川原啓一さん(45)は、最初の一通を思い返して顔をほころばせます。「送り主は“見守りうさぎ”という署名だけで、住所もなし。中には手描きの応援イラストと、消しゴムやクレヨン、小さな算数ドリルなどの文房具が同封されていました」以降、毎週のように青封筒は増え、ある日は施設の郵便受けを埋め尽くしたと言います。

不思議なことに、この青い封筒は市内の複数の児童養護施設や、児童扶養手当を受ける家庭でも同様に着くようになったのです。送り主を記した“見守りうさぎ”は町のあちこちで名前が知られるようになり、地元のSNSでは「あたたかい支援が子どもたちの力に」「うちにも届きました!」と話題に。一部の地元スーパーでは、消印のないうさぎマークのついた青い便箋を見かけたという目撃談まで。

この小さな運動を地域の小学生・由井都羽さん(11)は「うさぎ便のおかげで新しい色鉛筆が手に入って、絵を書くのがもっと楽しくなった」と微笑みます。また、中学生の高本恵莉さん(14)は「家計が大変な時期だったから、本当に助かった」と話しながら、封筒に添えられた「どんな色でも、君の未来をぬろう」というメッセージカードを大切そうに見せてくれました。

事態を重くみた市役所の清水理加政策課長(38)は「地域の連携が子どもたちの希望になっている。便箋や文房具が不足して困ることがなくなった」と語ります。うさぎ便へのお返しメッセージも施設の子どもたちから集まるようになり、今では町の文具店やカフェでも“応援おすそ分け便”箱を設置する輪が広がっています。

青い封筒が誰のもとに届くのか、誰が送り主なのかは現在も“うさぎの秘密”のままですが、町ではもう一つのうわさがささやかれています。今度は、青い封筒によって集まった「願いごと」をかなえるための、おおきな虹色パレードが児童たちの手によって計画されているとか──。人々の優しさと想像力がつながるたび、町の未来にもそっと希望の色が増えていくようです。

コメント

  1. 自分も子育て中なので、こういうあたたかい取り組みを知って思わず泣きそうになりました。青い封筒を受け取った子たちが、のびのびと夢を描けるよう願っています。うちの子にも“誰かのためにできること”を教えたくなりました。

  2. ええ話しじゃのう。わしの孫も時々ひとりで心細そうにしとることがあって…。こんなふうに気持ちを届けてくれる人がおる町は本当にすばらしいと思います。昔ながらの助け合いの心を思い出しました。

  3. 私も虹色のいえの近くをよく通りますが、青い封筒の話は初めて聞きました。すごくほっこりします!送り主が誰なのか気になるけど、誰かの善意ってすごいなって思いました。自分も何かできたらいいな。

  4. 青い封筒を目にしたときは、てっきり新しい通販か何かかと(笑)最近、うさぎマークをつけたお子さんたちを駅で見かけて、ほんわかしました。町全体が優しさに包まれていて、うちの子が大きくなるのが楽しみです。

  5. 最初はフィクションなのかと思いましたが、こういう話が現実で起こったらきっとすごく素敵ですよね。秘密の送り主とかパレードとか、まるで映画みたい。“ちょっとした優しさ”が大きな輪になる社会になったらいいなと思います!