山間の古湯町・水無里で、心温まるワーケーションの新しい形が生まれている。きっかけは、温泉宿「虹乃湯」脇の池に現れた一匹の変わり鯉と、世界中から集まったテレワーカーたちの偶然の出会いだった。IT企業勤務の大野陽菜（33）は「初めて出張で訪れてから帰りたくなくなりました」と笑う。
水無里町の取り組みは他と少し違う。町では廃校になった旧第三小学校を改装し、「湯ノ端サテライトオフィス」を開設。校舎の教室がコワーキングスペースとなり、木製机や黒板もそのまま活用。朝は温泉で心身をほぐし、昼は教室で働き、夕にはみんなで給食風ランチをとるスタイルだ。週末は近隣の農園グループ「野こやま会」との野菜収穫交流も人気となっており、町内外の企業から長期利用の希望が相次いでいる。
注目の的となっているのが、校庭脇の池に住む“ラッキー鯉”「はるまちゃん」。大野さんがある朝、仕事の合間に池を覗くと、鱗が虹色に輝くはるまちゃんがぐるりと円を描く姿を目撃。その夜、サテライトオフィス参加メンバー全員が同時に新規事業のコンペに通過。SNSで話題が広まり、訪れるワーカーやリモートワーク家族の間で「はるまちゃんに願いを唱えるとチームの絆が深まる」と噂に。今や池の前は手作りの絵馬や、一言メッセージ入りの小石が並び、全国から応援や感謝の声が絶えない。
町の温泉宿も積極的にワーケーション用の宿泊プランを提供。夕食後には、若女将の金丸佳乃（51）が「お風呂でリラックスしながら名刺交換会」を主催。これが思いのほか盛況で、「初対面なのに昔からの知り合いのよう。不思議と話が弾みます」と常連のデザイナー村井省吾（46）は語る。一緒に浴衣で夜回り温泉を巡るうち、普段は気づかなかった新しいビジネス連携や、遠く離れた家族同士のつながりも次々生まれている。
経済アナリストの橋立未来（38）は「ワーケーションによる地域への経済波及効果はもちろん、心と心のバリアが溶ける形を水無里が示した。今後、多様な人の交流がイノベーションの源泉となるでしょう」と期待を寄せる。温泉の湯気とラッキー鯉がつなぐ小さな奇跡は、まだ静かな町に、優しい活気と新しい風を運び続けている。
コメント
子ども連れでも参加できるワーケーションって素敵ですね！給食風ランチや校舎でのお仕事、我が子にも懐かしい体験になりそう。はるまちゃんにも会ってみたいなあ。地域のみなさんと交流もできて、親としても安心感があります。
昔の小学校が新しい形で生まれ変わるのは嬉しいですね。温泉と鯉に癒されながら、若い人や遠くの方々が集まるのを見ると、町が元気になりそうです。私も散歩がてら、はるまちゃんに会いに行きたいなあ。
すごい、ワーケーションがこんなに楽しそうだとは！黒板のある教室でパソコン広げたり、温泉で名刺交換とか、めっちゃエモい。友達と一緒に参加してみたいし、願い事もしてみたいです（笑）
日々の町歩きの中で、知らない人たちが校庭で楽しそうに過ごしているのを見ると、自分まで元気をもらってます。みんなが温かく交流してくれて、地元の野菜も喜ばれてるみたいでうれしい限り！
こういう幸せな話題、もっと増えてほしいです！SNSでラッキー鯉の写真見たときも、なんだかほっこりした気持ちになりました。遠いけど、いつか絶対遊びに行ってみたい場所ですね。