会津の温泉街で“昭和レトロ夏めぐり”――世代と四季をつなぐ手作り縁日が話題に

会津の温泉街で、中学生やお年寄りたちが手作りの金魚すくい台を囲み、レトロな飾りと湯けむりに包まれて笑顔を見せている様子。 季節トレンド
世代を超えて賑わう温泉街の昭和レトロな夏祭りの一場面です。

暖かな湯けむりが立ち上がる会津の温泉街に、ある夏祭りが今年大きな注目を集めている。仕掛け人は、地元の中学生から温泉女将、さらには90代のお年寄りまで。時代も年齢も飛び越えた“昭和レトロ”をテーマに、昔懐かしい遊びと手作りの飾りで町が生まれ変わった。

旧青木屋旅館の前には、鮮やかなつるし飾りが揺れ、手彫りの金魚すくい台や、手描きのうちわが並ぶ。中心になったのは、地元中学の「思い出つなぎ部」と温泉旅館組合の女将たち。発起人の佐倉遥(14)は、祖母の部屋で見つけた昭和のアンティーク玩具に心を奪われたのがきっかけと語る。「祖母の小さなガラス細工や折り紙ランタンを見て、これをお祭りにしたら楽しいって思いました」。部員や地域のベテランたちと一緒に、ひな祭りのつるし雛や、レトロな射的台を一から手作り。梅雨のじめじめした日にも、温泉街の集会所に人が集まりアイスクリーム片手に飾り付けやお菓子作り、リサイクル浴衣の折り紙ワークショップが行われた。

廃業した土産物店が一夜限りの昭和駄菓子屋に変身したり、高齢者クラブの有志が夏祭りの踊り歌をレコードで再現したりと企画は盛りだくさん。最年長の金子喜三郎さん(92)は、金魚すくいの名人として登場。子どもたちの歓声に囲まれながら「昔は手拭いと紙で金魚を運んだんだよ」と笑う。SNSでも「まるでタイムスリップしたみたい!」「子どもも大人も笑顔になれるお祭り」と称賛の声が絶えない。

この夏祭りは、季節の行事を大切にする心も育んでいる。初夏の海開きを模した足湯プールコーナーには、小さなヨットが浮かび、十五夜の夜には、縁側で“月見温泉団子”を囲むミニ宴会も開かれる予定だ。主催者の佐倉遥は「夏だけじゃなく、梅雨や秋、冬も季節ごとに続けていきたい」と意気込む。金魚すくいは秋口には“柿すくい”、大晦日には“みかん転がし”へと進化計画も進行中だ。

地域には今、驚くほど多世代の笑顔が左団扇のように広がっている。企画や準備の中で、若者とお年寄りがふと昔話を交わす時間が増えた。旅館に泊まった観光客も巻き込んだこの取り組みについて、温泉旅館組合の柏木美穂女将(57)は「大掃除のついでにみんなで作った飾りが、世代の壁を超えて町じゅうの宝物になった」と話す。

たとえば、普段は閉じこもりがちだったご高齢の方が、飾り付けをきっかけに町へ出てきた例や、中学生が温泉のお手伝いをしてそのまま遊び相手になる光景も。四季をめぐりながら、笑顔と昔懐かしさが少しずつ町に根付いていく。温泉街全体が、まるで一つの大きな家族になったような風景に、誰もが心和ませている。

コメント

  1. 小学生の娘と一緒に記事を読みました。懐かしい遊びや手作りの温かさって、今の子どもたちにも本当に体験させてあげたいことばかり!今度家族旅行は会津の温泉街に行きたくなりました。みんなで作り上げるお祭り、素敵ですね~。

  2. 昭和の駄菓子屋や射的、懐かしいなぁ。若い子たちと一緒にお祭りを盛り上げてるご年配の方々を想像すると、つい昔を思い出して泣けてきます。こういう町の取り組み、全国に広がるといいな。

  3. 地元の中学生が中心なんて、なんかいいなー。うちの地元も最近元気ないし、ちょっと参考にできたらと思いました。みんなで街を楽しくできるパワー、見習いたいです!

  4. いつも温泉街のお散歩コースを歩いている者です。あの古い旅館の前がこんなににぎやかになるなんて!道すがら楽しませてもらいました。何より、みなさんのおしゃべりが増えた気がして、それがすごく嬉しいです。

  5. 手作りの金魚すくい台やレトロな射的って、写真で見るだけでもワクワクします。柿すくいとかみかん転がしなんてユーモアもあって最高です!行ってみたいし、こういうニュースがもっと増えると嬉しいです^^