蔦原町に映画住宅まつり誕生 おすそわけデバイスで町民全員がイッキ見体験

冬の町の広場で、町民たちが各自の端末を持ち寄り即席の映画鑑賞を楽しむ様子。 サブスクリプション動画配信
蔦原町の広場で、世代を超えた町民たちが端末を並べて映画を一緒に視聴する光景。

冬の夜長が始まった蔦原町で、町民たちがひとつの映像で心をあたため合う奇跡のようなイベントが誕生した。町内のサブスクリプション動画ファンたちが、手持ちの端末をつなぎ合わせて巨大な“おすそわけシアター”を即席で作り出し、名物の海外ドラマシリーズを全員で同時視聴するムーブメントが広がっている。

発案者は町内の書店主・敷島和彦さん(54)。「寒い日の夜はついつい家にこもりがち。でも誰かと感動や笑いを分かち合えたら、もっとあたたかいはず」と、店先でふと自前のサブスク動画を流してみたのがはじまりだった。ちょうどその夜、常連の主婦・大久保文恵さん(39)が通りがかり、思いきって「私のタブレットも映せませんか?」と尋ねた。そこから“おすそわけ合戦”が町全体に広まっていったという。

町の中心広場には夜になると子どもたちから高齢者までが集まり、各自お気に入りの端末を持ち寄って、隣同士で共有しながらライブ上映を楽しむシーンが生まれている。特に海外ドラマの一挙配信期間には多くの住民が『愛しき汽笛』シリーズをイッキ見し、物語のクライマックスで拍手や歓声が自然に湧き起こるという。地元高校の生徒たちは自作のイヤホンスプリッターを無償配布し、世代を超えた“同時視聴”が可能に。SNSでは「#蔦原おすそわけ劇場」のタグが各地から広まりつつある。

一方で、普段は交流の少なかった人同士が思いがけない縁を結ぶエピソードも次々誕生している。昨晩は町一番の高齢者・堀和子さん(82)が、自宅に眠っていた古いノートパソコンの再生に挑戦。通りがかりの大学生・石嶺遼さん(20)と意気投合し、即席の“親子リモコンチーム”が結成された。「知らない人と一緒にドラマを観るのは照れくさいけれど、だんだん友達みたいになれる。イヤホンから伝わる笑い声が宝物」と堀さんは目を細める。

蔦原町では今後、広告付き無料視聴デーや“ドラマ話おすそわけ会”といった新たなイベントも計画されている。敷島さんは「欲しいのは高価なスクリーンじゃなくて、一緒に夢中になってくれる仲間。その手作り感がこの町の自慢」と嬉しそうに語った。画面越しの繋がりが町に実際の絆となって広がる光景に、専門家の佐渡明子(地域文化研究者)は「映像コンテンツが“おすそわけ”で生き生きと息づく、新しい町内交流の理想形。人の優しさが空間も時間も豊かにしている」と温かい分析を寄せている。

コメント

  1. 子どもたちが毎晩ワクワクしながら端末持って広場に出掛ける姿が微笑ましいです。普段あまり話さないご近所のおじいちゃんおばあちゃんたちとも交流が増えて、我が家でも話題になっています。こういう優しさ溢れる時間がもっと増えてほしいです。

  2. 82歳の堀さんがノートパソコンを持って広場で若い方と一緒にドラマを楽しんでいるなんて、素敵な時代ですね。私も高齢者の一人として、蔦原町の皆さんの温かさが羨ましくなりました。皆で一緒に感動できる場所があるのは何より幸せです。

  3. こういう町に住んでみたい!学生たちが自作のイヤホンスプリッターを配ってくれるとか、発想が温かくて感心しました。SNSで話題になるのも納得です。蔦原町のおすそわけシアター、いつか現地で体験してみたいな〜。

  4. まさか普段話すこともなかった隣町のおじさんと『愛しき汽笛』で盛り上がれるとは思ってませんでした。デバイス一個でみんながつながれるって、ちょっと前じゃ考えられなかったですよね。毎晩の数分がすごく大事な時間になってます。

  5. え、こんな素敵なこと現実にあったらいいのに!普段ちょっとデジタルに不安がある自分でも、町の皆でわちゃわちゃ楽しめるなら混ざってみたい…。町ぐるみで同じドラマ見て盛り上がるって、最高のコミュニケーションだと思います!