昭和町の小さなオフィス街で、毎朝ふわりと歌声が広がる。きっかけは、清掃員の宮下春子さん（56）のひそかなハミングだった。彼女の柔らかな歌声は、一人、また一人と同僚を巻き込み、いつしか“みんなで始める朝の合唱”へと発展。そんな思いやりが生んだ職場改革が、町に新しい風を運んでいる。
3年前、建築設計会社「未来設計室」では、社員のモチベーション低下や、新人離れが課題となっていた。管理課リーダーの笹岡樹（38）は、「エンゲージメントを高めたい」と考え、パーパス経営の手法を導入。ただ、理念だけでは空回りしてしまう日々が続いていた。
ある雨の朝、宮下さんは誰にも気づかれないように、静かに「ふるさと」を口ずさんでいた。偶然、早朝出勤していたデザイナーの金森翔人さん（29）がその声に耳を傾け、そっとハーモニーを重ねた。その翌日にはもう二人、そして一週間後には10人が、出社前のロビーに集まるようになった。ハミングの輪は職場を越えて、近くのカフェや郵便局にもゆるやかに広がっていった。
社内では“朝の2分ハーモニー”が公式イベントに昇格。ジョブ型雇用に移行しつつも、役割の垣根を越えてお互いを知る機会となり、「自分が誰かの一日を明るくできる」と感じる人が急増。毎月のエンゲージメント調査では、自己肯定感や幸福度が過去最高に。地域の子どもたちやシニアたちもオフィス前に集まり、朝の合唱が“町の元気のバロメーター”になっている。
SNSでは「#昭和町の朝ハミング」というタグがトレンド入り。「仕事前なのに心がほぐれる」「自分も家族に優しくなれる気がする」と喜びの声が相次ぐ。組織心理学者の福住有里子氏（44）は「自発的な善意が企業文化と地域を潤す、まさにパーパス経営とジョブ型雇用の理想的な融合例」と評価。春子さんは「私の歌が誰かの役に立つなんて、思ってもみなかった」と微笑む。ハミングの連鎖が生んだ小さな奇跡は、町じゅうの“働く”にやさしい彩りを添えている。
コメント
朝の合唱に子どもたちも自然と足が向くって素敵ですね！うちの娘も最近ハミングが大好きなので、一度見に行ってみたいです。職場でもこういう優しい繋がりが広がると、私ももっと家族に優しくなれる気がします。
こんな朝がある町は、ほんとうに幸せですねぇ。昔の隣近所の助け合いを思い出します。まだまだ世の中、捨てたもんじゃありませんな。機会があればぜひ孫と一緒に参加したいです。
毎朝オフィスの前がほんのり賑やかで楽しいです！仕事前に寄ってコーヒー片手に合唱聴いてると、1日がんばるぞーって気持ちになります。皆さんに感謝です！
実際にSNSでハミングの輪が広がってるの見て、地元がちょっと自慢になりました笑。私も学校で大変な時、誰かの歌声に救われたりしたし、こういう雰囲気の企業で働きたいなって思いました。
こんなほっこりするニュース、もっと広まればいいのに！うちの会社も朝からバタバタしてるだけだから、ちょっと真似したくなりました。心があたたかくなりました、ありがとうございます☺️