静かな山あいの村、桜見沢(さくらみざわ)を訪れる観光客の間で、今ちょっと不思議で温かな現象が広まっている。なんと、村の名物“手描き観光マップ”が、持ち主を次々に変えながら村内を歩き回っているというのだ。SNSでは「今日もマップが旅していた」「人と人をつなぐ奇跡の案内板」と、愛らしい話題に心が癒やされる人が続出している。
この手描きの地図を描いたのは、桜見沢で喫茶店「ふかみどり」を営む鳴沢良平さん(58)。彼は常連のおばあちゃんたちと協力し、手書きのイラストや、村のおすすめ土産リスト、神社仏閣のちょっとした裏話、古い商店街の小ネタまで、心温まるコメントをたっぷり添えて一枚一枚仕上げた。この地図には「次に出会った人に手渡して、村内で旅を続けてもらえたら嬉しいです」という願いが書き添えられている。
初めて『手渡し観光』を体験したのは都内から来た会社員の小宮井詩織さん(29)。彼女は神社で地図を受け取り、それを片手に小さなパン屋や玩具店、喫茶店を巡った。「地元の方が“ここにも寄ってごらん”と声をかけてくれたり、商店街でおまけをもらったり、なんだか村全体が家族みたいでした」と語る。詩織さんは別の観光客と商店街の入口ですれ違い、その人にバトンのように地図を渡したという。
SNSでは“手渡した相手との一期一会体験”の投稿が相次ぎ、地図がたどってきたルートや、触れ合いのエピソードが村外にも温かく届いている。大学生グループが笛を学ぶ子どもに案内してもらったり、商店街の豆腐屋で偶然居合わせたお年寄りと世代を超えておしゃべりしたりという光景が日常になりつつある。観光協会の村瀬加代美さん(43)は、「地図が人の架け橋になっています。SNSでは『こころの道しるべ』と呼ぶ方もいますね」と微笑む。
桜見沢には、観光スポットの華やかさや派手な名産品はないが、地図がくれる“めぐり合わせの旅”が、村に小さな奇跡を呼び込んでいる。冬に向けて地図はあたたかなイラストで模様替えされ、今後は土地の作家による土産物紹介や、歴史を感じる神社仏閣めぐりの新コースも加わる予定。SNSでは「今度は誰が地図を手にするんだろう」「次こそは自分も受け取ってみたい」と、心待ちにする声が後を絶たない。桜見沢では今日も、ひとつの地図が旅のご縁を静かに紡いでいる。



コメント
子どもと一緒に桜見沢に行きたくなりました!地図を通して人と出会えるなんて素敵な体験になりそう。今の時代、こういう温かい繋がりは本当に貴重ですね。
昔はよその人にも気軽に声をかけたものですが、最近はそれも減って少し寂しい思いをしていました。この地図のおかげで、また村のみんなと観光客の方が交流できてうれしいです。
SNSでこの話を見て、友達とめっちゃ行きたいって盛り上がってます!知らない人同士でバトンみたいに地図を渡すの、絶対ワクワクするし想い出になりそう。
最近この村に引っ越してきましたが、こんな素敵な風習があるなんて知りませんでした。今度、地図を持って散歩してみようかな。近所の人とも仲良くなれそうで楽しみです!
全国各地を巡ってますが、観光地化された場所とはまた違う、こういう地元の人の温かさって心に残りますね!こういうニュースを読むと、旅先での一期一会を大切にしたくなります。