リモートでつながる“まごころお弁当便” 全国のオフィスに笑顔があふれる新習慣

ノートパソコンの画面にビデオ通話で自作のお弁当を見せ合う複数のリモートワーカーの笑顔が映るオフィスの机の上の様子。 リモートワーク
オンライン会議でお弁当を見せ合いながら交流する全国のリモートワーカーたち。

オンライン会議越しの距離が、ほんの少しでも近づいたら――。そんな願いを叶えてくれる不思議なサービスが話題を集めている。「まごころお弁当便」と名付けられたこのプロジェクトは、全国のリモートワーカーたちがお昼休みに“心のこもったお弁当”を交換し合うという、ちょっとユニークな取り組みです。

“まごころお弁当便”は、異なる地域や会社で働く人々同士をマッチングし、それぞれが自分の好きなお弁当を作り、オンラインでお弁当レシピやエピソードと共に交換するというもの。さらにプロジェクト特製のバーチャルキッチンルームでは、クラウド上でランチトークも楽しめ、地球のどこにいても、同じ釜の飯を食べる感覚を味わうことができます。

このアイデアの発案者は、会計士(41)の早乙女慎一さん。東京と福岡、長野の3拠点で働くチーム仲間と、コロナ禍中に『手作りのお弁当、誰かと分け合いたいな』と雑談したことがきっかけでした。最初は小さなSlackのグループで「写真とレシピ交換」を始めただけでしたが、全国各地に「あたたかい繋がりへの憧れ」が徐々に広まり、IT企業のクラウドソーシングコミュニティを通じて一気に輪が拡がったそうです。

今や参加者は1000人を超え、バーチャル会議の背景には、毎日さまざまなお弁当の写真やお手紙が並びます。広島で働くデザイナー(28)の三宅梨花さんは「一匹のお魚に添えられたメッセージが、まるでおすそ分けみたいに心に沁みました」と感想を寄せています。最近ではペーパーレスの流れを受け、手書きのレシピメモもデジタル化され、アーカイブとして全参加者が閲覧できるコーナーも人気です。

プロジェクトは多様なバーチャル交流も推進しており、毎月1日には『オンラインお弁当発表会』を開催。最も“ほっこり”した弁当エピソードに、参加者による投票で“まごころ賞”が贈られます。組織や年代を越えた新たなコミュニケーション手段として、SNS上でも「#まご弁でつながる毎日」「ひと口で世界が近くなる」などの投稿が増加。リモートワークという働き方に“食”を通じた優しい循環が生まれ、全国の“バーチャル職場”に今日もあたたかな笑顔が広がっています。

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