八ヶ岳のふもとの小さな村に、ちょっとした奇跡が起きている。グラウンドの周囲に集まるいつもの顔ぶれに、今年は全国からたくさんの「見えない観客」が加わったのだ。きっかけは、80歳の佐藤周作さんが手作りした「村民スポーツ中継プロジェクト」だった。
佐藤さんは村の元教師で、長年グラウンドの整備当番や運動会の実況をボランティアで続けてきた。数年前に孫の家族が都会へ引っ越し、大好きだった孫たちが応援に来られなくなったことをきっかけに、「もし自分の声も映像も遠く離れて届けられたら」と思い、ITの知識を独学で習得。村の子どもたちと一緒にお古のタブレットや廃材で自作の『バーチャル・スタジアム』セットを作り上げた。
この自作スタジアム最大の特徴は、「マルチアングル生中継」。グラウンドをぐるりと囲む小型カメラたちが様々な角度で試合や応援の様子を映し出し、スマートフォンやPCから自由に視点を切り替えながら観戦できるのだ。さらに、「みかんの皮で作った応援スタンプ」や、「わらべ歌チャット機能」なども村の子どもたちのアイデアから生まれた。
福岡に住む高校生の孫・佐藤渚さんも「おじいちゃんの解説が身近に感じられて、懐かしくて泣いてしまった」と語る。観戦中、渚さんとおじいちゃんが同じチャット画面で『応援ゴロ合わせ』を即興で披露するシーンもあり、視聴者たちは画面越しに拍手を送った。中継の公開を重ねるうちに、村出身の遠方在住者や、噂を聞きつけた都市部の人々まで「一緒に応援させて」とアクセスが増加。中には「村の丸太転がしリレーに自分の地域でも挑戦したくなった!」と書き込むネットユーザーも現れ、思わぬ波及効果も生まれている。
「世界中どこにいても、あの土の匂いと声援が届く。まるでその場に集まったみたいだ」と評判は口コミで広がり続けている。専門家の山森和仁教授(社会情報学)は「最新機能と土地の温もりが融合した、心を結ぶ新しいスポーツ観戦の形」と評価。「技術が人の距離を縮め、優しさまで繋げる時代が到来した」とコメントしている。来月は、村全体でオンライン運動会を開催予定。誰もがどこにいながらも同じ歓声を分かち合う――そんな未来のスタジアム体験が、村の風景にそっと根付いている。



コメント
うちの子も運動会のとき緊張しているみたいなので、遠くのおばあちゃんたちに応援してもらえたら嬉しいだろうなと思いました。佐藤さんのアイデアと行動力、素晴らしいです!
佐藤さんの実況、昔からとても楽しみでした。まさかネット越しでも聴ける日が来るなんて!村のみんなの温かさが伝わってきて、元気が出るニュースでした。
バーチャルスタジアムめっちゃ面白そう!私もIT得意なおじいちゃんほしかった~。うちの学校でもこういうのやりたいし、なにより、家族が離れてても一緒に応援できるのが羨ましいです。
村の取り組みが全国に広がって、昔ながらの運動会の雰囲気が新しい形で残るのって本当に素敵ですね。オンラインでも土の香りや声援が感じられる工夫、感動しました!
みかんの皮の応援スタンプとか、わらべ歌のチャット機能とか、遊び心満点でほっこりしました。技術って冷たいイメージあったけど、温かい繋がりも作れるんだなぁ、と嬉しくなりました。