定年駅から始まる“第二の人生鉄道”──全国みんなで旅する終活列車が出発進行

春の車窓から外を見つめる高齢者たちが穏やかに座る列車内の様子。 人生の節目
新たな人生の出発点となる特別列車「みらい軌道号」の車内風景。

桜のつぼみがほころび始めた朝、青森から鹿児島まで走る一本の特別列車が静かに動き出した。列車名は「みらい軌道号」。車両の中には、人生の節目を迎えた70歳前後の乗客たちが、期待と少しの緊張を抱えながら静かに窓の外を眺めている。新たな人生のスタートラインに立つ人々を結ぶこの“終活列車”が、いま全国にあたたかな波紋を広げている。

このユニークな運行は、かつて鉄道技師だった神楽木司郎さん(72)の「定年退職の門出を仲間と祝いたい」という一言から始まった。地域の自治体やNPO、鉄道会社が力を合わせ、定年を迎えたばかりの人たちを対象に、全国各地の絶景ポイントを巡りながら、お互いの想い出やこれからの夢を語り合うという前代未聞の旅が企画されたのだ。全行程14日間、駅ごとに“人生の節目”を彩るイベントが盛り込まれている。

特に好評だったのは、車道内での「大人の自己実現ワークショップ」だった。元教師や農家、医師、バレリーナなどさまざまな経験を持つ乗客たちが、それぞれ夢や挑戦したかったことを語り合い、時にはお互いの趣味や特技を即興で披露し合った。ある夜には、絵本作家に憧れ続けた小田切仲子さん(69)が、自作朗読会を即席開催。その温かな語り口に、車両全体がやさしい沈黙に包まれた。SNS上では「大切なことは年齢より心のときめきだ」「新しい自分に出会える旅」と感動をシェアする声が絶えない。

一方、各地の駅では地元の小学生や若い親たちが、「ようこそ!」と手作り横断幕で出迎え、お年寄りたちとの世代交流会が自然発生的に行われることも。当初は“終活”という言葉に緊張していた参加者だったが、地元の新成人たちと人生について語り合い、思いがけない友情を築くなど、世代を超えたつながりが生まれた。鹿児島駅で無事旅が終わるころには、多くの人が「定年は終わりじゃない、始まりだ」と満ち足りた表情。

専門家の湯谷めい子氏(ウェルビーイング研究者)は「自分と向き合い、人との対話をもつことが、人生100年時代には不可欠。その第一歩を“移動”という非日常のなかで体験できるのは素敵なこと」と話す。来年は全国から車両を増やす構想もあり、「みらい軌道号」はますます多くの人の心に春風を届けていきそうだ。

コメント

  1. こんな素敵な列車があるなんて知りませんでした!駅で子どもたちとおじいちゃんおばあちゃんをお迎えする場面、想像するだけで心が温まります。うちの親にも教えてあげたいです。

  2. いやぁ、終活ってちょっと寂しいイメージだったけど、こんなワクワクできるイベントがあるならぜひ参加してみたいです。昔の夢を語り合えるって、歳を取っても新しいチャレンジができるんですね。

  3. SNSで話題になってるの見ました!異世代交流、めっちゃいいと思います。もっと若い世代にも広まると社会があったかくなりそう。僕も将来こんな体験してみたいなって感じました!

  4. 駅前でこの列車のお迎えイベント、たまたま見かけました。皆さんとても楽しそうで、こちらまで明るい気持ちになりました。“定年は始まり”って本当にそうですね。応援してます!

  5. 正直、終活って暗いイメージあったけど、この記事読んで全然違った!大人が新しいことに挑戦する姿、かっこいいです。うちのおじいちゃんにも乗ってほしいな。