里山の森が“にっこり通貨”に――小学生発案で始まる森のマルシェ革命

里山の緑に囲まれたマルシェで、子どもと大人がカラフルな紙証書を手渡しながら笑顔で交流している光景。 サステナビリティ
森を守る思いが込められた「にっこり証書」が町の人々を結ぶ、温かなマルシェのひととき。

緑があふれる岐阜県北部の里山で、ある日地元の森が“通貨”として生まれ変わった。きっかけは町の小学校3年生・森田こはるさん(9)が、「自然を大切にしたら、嬉しい気持ちが増えるお金ができるはず」と発案した一枚の「にっこり証書」。このちいさな紙切れが、今や大人も子どもも笑顔で使うサステナブルな“森のマネー”として、町を温かくつなぐ不思議な経済を回している。

マルシェの日、森の縁には地元産の野菜や蜜蝋キャンドル、廃材から生まれたキーホルダーが並び、購入したお客さんには「にっこり証書」がおまけで付けられる。証書には、子どもたちが描いた森の生きものや笑顔のイラストが描かれ、1枚につき里山の保全活動1分分に換算される独自の仕組み。その証書で自然体験教室を受けたり、マルシェのお茶菓子と交換できたり、町のみんなが自由に使っている。町の子どもたちは、「これで森も笑顔になってほしい」と無邪気に語る。

仕組みの裏には、森田さんをはじめとした地元小学生たちと、森を守るボランティア団体『こもれびの会』が協力。「使われれば使われるほど、森に新しい苗木が植えられ、生態系の豊かさが増していく通貨」だという。証書の発行枚数なども、地元の林業従事者・高橋繁樹さん(47)らがサポートしており、「自然の恵みを大切にしながら世代を超えた交流が広がるのが嬉しい」と顔をほころばせる。町のレストランでも「証書10枚でエコカレー1皿」といった独自のサービスも始まっている。

また、集まった証書は生分解性のバイオマス紙でできており、使い古されたものは年に1度森のコンポストへ。やがて森を肥やす資源として還元されるため、ごみも出ず、子どもたちが「森のお財布は、森に戻るんだよ」と目を輝かせる。参加した主婦(39)は、「エコなだけじゃなく、誰かの笑顔や優しさが見えるやりとりが本当に心地よい」と話す。

SNS上でも、「“お金”が森から生まれて森に戻るストーリーが素敵」「子どもたちの発想力に学びたい」と感動の声が拡がっている。環境経済学者の江口春生教授は、「貨幣の役割そのものを見つめ直す、極めて先進的なサステナビリティ実験」と評価する。森田こはるさんは「いつか“にっこり証書”が全国の森に広がって、地球全部が笑顔になったらいいな」と微笑んだ。町一番の小さなマルシェ発の“森のお金革命”は、今日も子どもたちのやさしさとともに、静かに新しい森の未来をひらいてゆく。

コメント