通勤ラッシュのホームで、仕事終わりのオフィスで、ふと誰かの微笑みが心を軽くした経験はないだろうか。今、首都圏を中心に、働く人々の“笑顔”を通貨として扱う新しい仕組み、『笑顔銀行』が注目を集めている。きっかけは、事務職の葦原ノゾミさん(34)が、日々の小さな親切や思いやりが働くモチベーションになる、と感じたことから始まった。
葦原さんは昨年、職場の仲間と「もっと互いを応援できる仕組みがほしい」と語りあっていた。すると、同僚の川原悟(29)が冗談半分で「笑顔を貯めて有給と交換できたら幸せだ」と提案。それがきっかけとなり、有志10人で『笑顔銀行』の開発プロジェクトがスタートした。プロジェクトは小さなオフィス向けツールとして設計され、社員が日々の業務や雑談中に「ほっこりする瞬間」や「誰かに感謝したい瞬間」を記録。1回の“笑顔エピソード”ごとに「ほほえみポイント」が貯まる仕組みだ。
最大の特色は、人事評価の一部と切り離し、重圧なく「嬉しかったこと」「やさしさ」を自由に送りあえること。たとえば、林洋介さん(営業・45)は繁忙期に差し入れコーヒーをもらった体験を投稿し、受け取った神田瑞枝さん(総務・52)も、そのおかげで午後を乗り切れたとポイントの連鎖を生んだ。集まったポイントが一定に達すると、社内特典や“微笑休暇”として1時間単位でのフレキシブル休暇、リスキリングのオンライン講座券、副業トライアルの支援など様々な自己実現機会と交換できる。
SNSでは「朝から“ほほえみチャレンジ”で社内がやさしい空気に」「思わぬ副業アイディアが社内の笑顔から生まれた」といった声が溢れている。笑顔銀行を導入したある企業では、コロナ禍で低下しがちだったチームワークと心理的安全性の回復が見られたという。社外の“分散型ほほえみ連盟”とも提携し、複数の職場横断でポイントが移転するケースも出てきた。
キャリア・自己実現の専門家である新木恵助(労働社会学・56)は、「ジョブクラフティングやエンゲージメント向上の観点からも、こうしたぬくもり重視の仕組みは働く人の心を支え、創造性ややる気に繋がる」と話す。葦原さんたちは、「笑顔は気合いと違ってムリヤリ出せないもの。でも、誰かに喜んでもらえた一瞬を、みんなで祝福し合える場が生まれた。気張らず、身近な幸せを見つけるきっかけになれば」と語る。働き方改革を掲げる中、日々の“ほほえみ”がゆっくりと未来の選択肢を広げているようだ。



コメント
子育て中なので、職場でも家でもバタバタですが…笑顔を集めて有給になるなんて、なんて素敵なアイデア!子どもたちにも「やさしさの貯金」って話してみたいです。ほんとにこういう制度、増えてほしいなぁ。
昔は“根性論”が当たり前で、笑顔なんて余裕なかったけど、今の職場はこんな温かい工夫があるとは驚きです。若い人の発想、素晴らしい。もっとたくさんの会社に広まってほしいのう。
こういうニュース見ると、自分も就活で会社を選ぶポイント増えそうって思います!働いてる人が楽しそうな空気、めっちゃ良い。バイト先にもぜひ導入してくれないかな~。
朝の通勤でギスギスしちゃうこともあるけど、こんな『笑顔銀行』があったら自分も意識して優しくなれそうな気がします。みんなで小さな“ありがとう”を大事にできる社会、いいですね。
うちの会社は数字と結果ばっかり。正直、笑顔が評価につながるって信じられないけど…でもこういうぬくもりある話を聞くと、やっぱり羨ましくも感じます。日本の働き方、もっとこうなってほしい!