北海道東部・標津村。川沿いに佇む小さなこの村で、朝晩に広がる合唱が話題を呼んでいます。その主役は、ひょんなことから村の池に定着した外来生物・ウシガエルたち。村人たちの心を温めるその“歌声”に導かれ、地域の自然にも優しい変化が生まれています。
数年前、県の外来生物対策課から派遣された生物管理士の佐野瑞季さん(34)が、特定外来生物であるウシガエルの初確認を報告しました。当初、村では強い警戒の声が上がったものの、すぐに駆除せず、村民の提案で『ぜんぶのいのちで楽団』という観察プロジェクトが立ち上がりました。「どうしても“敵”にしたくなかったんです」と佐野さん。学校の理科クラブを中心に、ウシガエルの生態観察や、昔から住む在来のモリアオガエル、アカガエルとの違いを学ぶ日々が始まりました。
ある夏の夜、池のほとりで中学生バンドがウクレレを奏でていたところ、ウシガエルたちがバンドのリズムにぴたりと合うかのように大合唱を始めました。この様子をSNSで共有した村のパン屋・五十嵐修吾さん(46)の投稿が拡散され、全国から「参加したい!」とメッセージが殺到するほどの話題となりました。今では毎月第二土曜に“カエル交響コンサート”が催され、村人も来訪者も自然の一部になって楽しんでいます。
この活動をきっかけに、ウシガエルがもたらす影響を村のみんなで見守る体制ができました。モリアオガエルが産卵するための水草を増やしたり、水辺に苗木を植えて環境を工夫。すると、在来種のカエルたちも徐々に数を回復し始め、自然とウシガエルたちの生息範囲も“お互いの棲み分け”ができるようになりました。地域の子どもたちは自ら調査カードを作成し、どの種のカエルがどんな時間帯に鳴くのか、真剣なまなざしで観察録をつづっています。
外来生物法が重く響く中、標津村では共生を大切にする“新しい自然との向き合い方”が根づいています。生物管理士の佐野さんは「生き物同士も、人間同士も“敵”ではなく、つながることで豊かなサービス(生態系サービス)が生まれる。村での小さな奇跡を、もっと他の地域にも伝えたい」と、ほほえみます。一風変わったカエルたちの合唱団は、今日も小さな村の夜に、やさしいハーモニーを奏でています。



コメント
小学生の娘と一緒に記事を読みました。命を『敵』と決めつけないで見守る村のみなさんの優しい心に、親としてとても感動しました。子どもが「私も観察カード作りたい!」と言っています。こんな素敵な取り組み、全国に広がったらいいなぁと思いました。
たまたまタイムラインで見つけて読んだんですが、カエル交響コンサートめっちゃ行ってみたい!外来種って悪者扱いされがちなのに、みんなで協力して共生してるのがすごいです。生き物好きにはたまらないニュースでした♪
わたしも若い頃、田んぼのカエルの声を聞きながら育ちました。村の皆さんが自然と調和して暮らしている様子が懐かしく、温かい気持ちになりました。子供だけでなく大人も、生き物に学ぶことがあるのですね。
近くの村でもたまにウシガエルの声を聞きますが、こんな風に楽しみに変えてしまう標津村の皆さん、発想が素敵すぎ!水草を増やしたり調査カードを作ったり、子どもたちの成長も感じられて心がほっこりしました。
パン屋さんの五十嵐さんの投稿から話題になるなんて、なんだかドラマみたいで笑ってしまいました!カエルたちも、村の人たちの笑顔も想像すると癒やされます。私も北海道に行く機会があればコンサート覗きたいです♪