春の陽差しがやわらかく注ぐ午後、長良川沿いに小さな和風建物がオープンし、町の住民たちがワクワクと足を運んでいます。この建物は、年金暮らしの祖父母、泉谷哲次さん(74)と澄子さん(71)夫妻が自宅の一部を改装して開いた、“虹色お茶会ルーム”。ここはLGBTQ家族やそのきょうだい、ワンオペ育児に悩む親、家族問題に心を痛める人々のための「みんなの居場所」として、静かに話題を集めています。
泉谷夫妻には、大学生の孫・歩夢さん(19)と、その弟の舜さん(16)がいます。孫の歩夢さんが自身のセクシュアリティを初めて家族に打ち明けたとき、澄子さんは「それはとっても大切な贈り物なのよ」と穏やかに寄り添ったと言います。その日から、家では虹色の小さな旗が飾られ、お茶の時間には歩夢さんはもちろん、友人たちも気軽に集まるように。次第に近所でも「誰でも気兼ねなく話せる場所がほしい」という声が高まり、2年前についに“お茶会ルーム”が誕生しました。
このお茶会ルームの特徴は、来た人の誰もが“何気ない家族の相談”や“ささいな心配事”も安心して話せること。LGBTQ家族特有の悩み、きょうだい間の微妙なもやもや、あるいは遠方の親をどう扶養するか、ワンオペ育児の疲れ…一人ひとりの人生の物語が、お茶の湯気とともにゆっくりほぐれていきます。「誰かに『それ分かるよ』と言ってもらえるだけで、心が軽くなる。このお茶会はきょうだい同士の喧嘩も自然と笑い話になるんです」と常連の会社員・沢村美和子さん(38)は微笑みます。
地域福祉の専門家・尾崎理哉さん(45)は「こうした民間のサードプレイスが、家族のきずなや周縁の支え合いの再発見につながっています。専門職のサポートが届きにくい問題も、経験を分かち合う場があるからこそ相談しやすい」と語ります。お茶会ルームには、近年“きょうだいリスク”を感じて生きる若者たちや、ひとり親家庭の子どもも悩みを打ち明けにふらりと訪れるようになりました。
SNSでも「日曜お茶会の投稿を見ると『今日は大丈夫』と思える」「性別も年齢も肩書も関係なく迎えてくれる場所があるって、救われる」と共感の声が広がっています。泉谷哲次さんは「ここで出会った子どもたち同士が『第二のきょうだい』みたいに支え合ってるのが、人生で一番うれしい」と日記に綴っています。お茶会ルームの小さなちゃぶ台では、今日も新しい家族のかたちと、ほほえみの絆があふれています。



コメント
ワンオペ育児で正直いっぱいいっぱいな日が多いので、こんな場所が近くにあったら本当に嬉しいなって思います。悩みを安心して話せる場所があるだけで、また頑張れる気がします。泉谷ご夫妻に心から感謝です。
なんだか昔の井戸端会議を思い出して、懐かしい気持ちになりました。今の時代だからこそ、顔を合わせてお茶を飲みながら心を開く場はとても貴重ですね。泉谷さんご夫妻の優しさ、見習いたいです。
LGBTQって話、まだまだ周りに言いにくくて…。でも“虹色お茶会ルーム”みたいなやさしい場所があれば、勇気出せそうな気がしました!歩夢さんのおばあちゃん、素敵すぎる…!私も絶対行ってみたいです!
この前お茶会ルームで友達と将来の夢とか家のモヤモヤを話したら、みんなが『わかるよ』って言ってくれてすごく安心した。哲次さんと澄子さん、いつも優しくて、第二のおじいちゃんおばあちゃんみたいです♪
こういう場所がもっと増えたら、誰もが肩の力を抜いて自分らしくいられるんだろうなと思いました。たった一杯のお茶とほっとした時間が、人を救ってくれることもあるんですね。心があたたかくなりました。