おばあちゃんたちの“フィンテック茶屋”誕生 町の縁台をつなぐデジタル小銭のやりとり

春の日差しの下、野外の縁台でスマートフォンの操作を若者に教わりながら笑顔でおしゃべりをするおばあちゃんたちと、手作りのお菓子が並ぶ様子。 金融テクノロジー(フィンテック)
美光村の“フィンテック茶屋”で、世代を越えた交流が自然に生まれている一コマ。

春らしい風が吹きぬける山間の町・美光村で、毎朝笑顔が集まる場所がある。華やかなのぼりが並ぶその一角は、町のご長寿たちが始めた“フィンテック茶屋”。デジタル初心者だったおばあちゃんたちが、手作りスイーツとおしゃべりを通じて町に新しい経済の風を吹き込んでいる。

茶屋の発起人である向坂ツバキさん(72)は、「財布とスマホ、どっちも使いこなしたい」と、数人の友人と共に電子本人確認(eKYC)やモバイルバンキングの勉強を始めた。最初は戸惑いもあったが、「孫が“ブルックリンで最先端やん!”って言ってくれて」と目尻を下げる。決済ゲートウェイの操作を教えてくれるのは、週に数回やってくる高校生ボランティアの坂木リヨウさん(16)。世代をこえた交流が自然と生まれ、茶屋はみんなの“縁台”となった。

茶屋名物の「福巡り団子」は、スマートコントラクトを利用した支払いシステムでやりとりされる。デジタル小銭(Tokoroコイン)を使えば、5円単位でぴったり清算。余ったコインは“みんなのおやつ基金”に自動で回され、買物弱者の高齢者がおやつを持ち帰れる仕組みだ。「小さな無駄も、みんなでシェアしたら大きな楽しみに」というツバキさんの言葉通り、茶屋には寄付や優しさが巡っている。

運用を支えるのは、美光高校のプログラミング部が開発したブロックチェーン台帳。取引はすべてオープンで、だれがどのように寄付したのかも丸見え。“見える化”されることで、悪用や不安が消えたという声も多い。資産運用の知識も自然と身につき、最初は「スマホは目に悪い」と言っていたおばあちゃんたちが、今では「ミニ投資話、今日はどんなニュース?」と楽しそうに会話を広げている。

SNSでも話題となり、茶屋のハッシュタグ「#おばあちゃんフィンテック」がトレンド入り。大学生やデザイナー、都市の金融アナリストも見学に訪れ、都市とローカルの垣根が溶けている。井戸端会議の温かみと最新技術が融合した美光村のフィンテック茶屋。訪れた人々は皆、ほんのり甘い団子と人のつながりの余韻を胸に、春の陽だまりのような笑顔で帰っていく。

専門家の大野希(地域金融研究所)は「技術が人と人の距離を縮め、信頼の輪を広げた好例。幸せの経済圏は、デジタルだけではなく、優しさの連鎖から生まれるのです」と語る。美光村の茶屋は、これからも毎朝、にぎやかなおしゃべりとともに、ささやかな幸せを生み出し続ける。

コメント

  1. 子育てしてると地域のお年寄りとのつながりがありがたいので、こういう茶屋が近くにあったら親子で絶対行きたいです!おばあちゃんと子どもがデジタルで交流してるの、本当に素敵ですね。

  2. 同じ世代として、おばあちゃんたちがこんなにも新しい技術に挑戦しているのを見て、勇気をもらいました。自分もスマホにはまだ苦手意識があるけど、団子を食べながら若い人と話してみたくなりました。

  3. プログラミング部がシステム作ったってすごい…!地元のために知識が役立つってやる気出るし、おばあちゃんたちもかわいすぎます!私もボランティアとかで参加したいな〜!

  4. 美光村のフィンテック茶屋、うちの町にもできてほしいです。スーパーまで遠くて買物困ってる人が多いので、こういうコミュニティがすごく助かりそう。やさしさが循環してて、読んでて心が温まりました。

  5. なんか懐かしい縁台文化が、デジタルで蘇るとは!こういうの、現実にもどんどん増えてほしいなぁ。団子で経済回るなら、僕もTokoroコインで買いに行きたい!