全国を旅するノマドワーカーの間で、ひときわ注目を集めている移動型カフェがある。その名も「バタフライカフェ号」。キッチンカーでもキャンピングカーでもない、蝶の羽のようなソーラーパネルを広げて各地に現れるこのカフェは、次にどこへ行くかも利用者のアイデア次第。週末ごとにSNSで投票が行われ、新しい街や村に“こころの給水所”をもたらしている。
バタフライカフェ号の管理人兼店主は、ノマド歴12年のフリーランス翻訳家・佐久間璃紗(37)。かつて自分も孤立感を味わった経験がある彼女は、どんな町にも温かい出会いが生まれる“共感の場”をつくりたいと4年前に旅を始めた。カフェ号はサブスク契約で開放されており、誰でも月額1000円で使えるコワーキング席やリラックススペースを利用できる。特徴的なのは、訪れたノマド客が一品ずつレシピを書き残していくキッチンコーナー。互いに“今日おすすめのコーヒー”や“これぞ生産性爆上げドリンク”を共有し合うのが恒例となっている。
今春、東北地方の小さな港町で偶然このカフェ号に出会ったデザイナーの辰巳隼人(28)は、「知らない土地で孤独に仕事していたけれど、このカフェで“おはよう”と声をかけてもらえただけで、何日分も元気になりました。ここには“また来たくなる居場所”がある」そう笑顔を見せる。カフェ号は、ノマドビザ利用者やワーケーション中の親子、町の高齢者グループにも自然ととけこみ、いつしか町ごとに蝶の羽根型サインが掲げられるようになった。
昨年末から始まったユニークな取り組みは“場所リレー・プロジェクト”。これまでに訪れた町の人が、次の目的地で“喜ばれる小さな願い事”を手紙に託す。『夕方にラテアートで励ましてほしい』『子どもたちと一緒にパンづくりワークショップを』などアイデアはさまざま。店主の佐久間は「どんな人も“応援される時間”が必要。私たちの役目は、そのきっかけを届けること」と語る。
カフェ号の宣伝はほぼSNSだが、毎週のハッシュタグ「#バタフライカフェ号どこ行く?」には、テレワークや案件に追われる人々の楽しそうな投稿があふれる。「多拠点生活は自由だけど不安もある。でも知らない土地で仲間ができること、それが自立につながる」――そんな声が全国から届き、バタフライカフェ号の輪は少しずつ広がり続けている。タイムマネジメントの工夫や新しい生き方のヒントも、ここで生まれている。
次なる目的地は四国地方の山あい。緑の中に広がるノマドたちの笑い声と、羽ばたく蝶の影が、その町にそっと明るい風を運ぶ日も遠くはなさそうだ。



コメント
子育て中の身としては、カフェ号でほかの親子さんと交流できるのがうらやましいです。パン作りワークショップなんて、子どもたちも絶対楽しいだろうなぁ。うちの町にも来てくれる日を心待ちにしています!
いやぁ、こんな素敵な移動カフェがあるとは驚いたよ。最近は新しいものについていけなくてね。でも、若い人もお年寄りも一緒になれる場所ができるのは、とても嬉しいことです。次はぜひ我が町にも寄ってほしいですな。
ここ数年リモート中心だけど、知らない土地で一人だと案外さみしい…。こういうカフェがあったら、バイト帰りにちょっと寄ってみたくなります。みんなで生産性爆上げレシピ、今度教えてください!
先月、カフェ号がうちの町にも来てくれました。小さな港の景色とおいしいコーヒー、たまたま居合わせた人たちと自然に会話できて、すごく心が温まりました。また再会できるのを楽しみにしてます。
毎日会社と自宅の往復で終わってたけど、こういう生き方もあるんだなってハッとしました。自分にとっての居場所、いつか見つけてみたいです。癒しのおすそ分け、ありがとうバタフライカフェ号!