地域の空き家と、子育てに奮闘する家庭が、目には見えない優しい“へその緒”でつながる新プロジェクトが全国で静かな広がりを見せている。“シェアリングホームポータル”は、多様な家庭の笑顔を未来へと結ぶ、新しい子ども支援の仕組みだ。
物語の舞台は兵庫県西部、播磨灘に面した縁結びで知られる潮見町。ここには何年も空いていた一軒家を、地域ぐるみで“みんなのこども部屋”とするアイデアが持ち上がった。呼びかけ人は、看護師で3児の母・伊原瑞帆さん(38)。彼女が始めたのは、家庭の事情や多文化の背景で支援が届きにくい子どもたちと、使われていない家を一時的に「つなぐ」仕組みだ。まるで見えない“へその緒”が家から家へ、親から親へ、新しい絆を編み直していく。
瑞帆さんが奮闘する理由は、かつて自らも夫の転勤で都市を転々とし、孤独な育児の苦労を味わった体験から。“自分の子を迎えるように誰かの子の味方にもなれたら”――そんな願いが、やがてシェアリングホームポータルの運営につながった。潮見町のプロジェクトでは、年齢や国籍に関わらず誰でも利用できる「みんな食卓」や、発達支援を希望する親子のための「家ごと教室」も併設。利用する子どもたちは、玄関を入ると必ず「ただいま」と声をかけてから入室するルールだ。
今年度は、近隣4県から既に100人近くの子どもと保護者がこの取り組みに参加した。“臨時ファミリー”として手伝う大人たちが、おやつを一緒に作ったり、外国にルーツを持つ子のために多言語絵本の読み聞かせをしたり。家ごとに掲げる“小さな約束ボード”には、「誰かの話を静かに聞きましょう」「新しいお友だちには笑顔でこんにちは」といった温かな言葉が並ぶ。
「みんなが少しずつ力を貸し合えれば、『家庭』の形もずっとカラフルになる」と瑞帆さんは語る。SNSでは、“うちも明日、シェアファミリーやってみたい!”“異国の子と一緒に昼寝、最高でした”という声が広がる。専門家の馬場貴洋教授(社会福祉学)は「予想以上のゆるやかさが、子どもや保護者に深い安心感を与えている」と評価。空き家に集う小さな笑顔の灯りは、地域に新しい家族のカタチと、やさしさの循環をもたらし始めている。


コメント
わたしも子育てで悩むことが多かったので、こういう温かい場所が近所にあったら本当に心強いなって思いました。多文化の子たちが一緒に笑える食卓って素敵!
わしも孫が遠くに住んでおるが、こういう“みんなのこども部屋”があれば心配せず見守れる気がする。昔の大家族のようなあたたかさ、嬉しいのう。
こういうプロジェクトが現実にもっと広がったら、居場所を見つけやすくなる学生も多いと思います。みんなでおやつ作り、私も参加したいです!
朝に子どもたちの『ただいま!』って声が聞こえてくるなんて、町がやさしくなる感じがして嬉しいです。おやつ作りの材料、うちのパンも使ってほしいなぁ。