兵庫県中央部の穏やかな町・雨笠町で、不思議な温もりあふれるマーケットが静かな話題となっている。「ぐりーん友市」は、古着や日用品、余ったお野菜から手づくりヴィーガンお菓子、さらには壊れたおもちゃまで、「昨日までの誰かの宝物」が次の誰かへと受け継がれる循環市だ。“サステナブル消費”の新たなカタチを模索するこの場所に、人々は足繁く通い、新しい出会いと小さな幸せを持ち帰っている。
市の発起人で主婦の水野咲良(38)は、コロナ禍で知り合いの経営する服屋が廃業しそうになった話をきっかけに「モノが行き場を失う瞬間の悲しさ」を痛感したという。家に溜まっていた使わなくなった服やおもちゃ、家具のほとんどがまだまだ現役で使えることに気づいた咲良さんは、「町中で困っている人や、何か欲しい人に『おすそわけ』したい」とSNSで呼びかけた。町の住民、特に高齢者や子育て世代を中心に賛同の声が広がり、やがて毎月第一日曜に集う「ぐりーん友市」が誕生した。
この市の最大の特徴は「お金を払わず、物々交換か感謝の気持ちだけでもいい」という柔軟な仕組みだ。例えば栄養士・村瀬佑介さん(29)は、余剰野菜を持ち込んだ帰りに、隣のテントで見つけた中古のキッズリュックをもらい受けたが、そのお礼に家で焙煎した豆を提供した。中には親子で来場し、使い終わったプラ製おもちゃを分解して、会場のリサイクル工房でお皿や植木鉢に生まれ変わらせる姿も。小学四年生の児童、岡田陽菜さん(10)は「自分のおもちゃが、お花を育てる入れ物になった。なんだか世界がつながったみたい」と微笑む。
各ブースでは太陽光発電による電力が使われ、露店の照明も手回し発電やバイオポリマーバッテリーでまかなわれている。市民グループ「Rain Waste Zero」の発案で始まったこの仕組みは、近隣市でも真似したいという声が高まりつつある。専門家の間でも、「モノの価値を最後まで見届け、地域で共有していくプロセスがコミュニティの絆と環境への配慮を同時に育てる」と注目されている。大学講師の泰地敦史(環境経済学)は「未来のサーキュラーエコノミーの原点がここにある」と語る。
ぐりーん友市の取り組みはSNSでも話題だ。「思わぬ出会い、素朴で幸せ」「プラスチックごみが花壇になった」「うちの余ったパジャマが、次の誰かの寝心地になっていくなんて!」といった声が次々と広がっている。咲良さんは「ここで生まれる“ありがとう”と“またね”の循環が、この町の日常になればうれしい」と控えめに語る。持続可能な消費と優しい地域の輪が、今日も雨笠町にそっと広がっている。



コメント
子どもたちを連れて初めて友市に参加しました。おもちゃや子供服を交換したり、新しいお友達と遊んだり、すごく温かい雰囲気にほっこり。こんな素敵な場所がもっと増えてほしいです!
昔はご近所で野菜や漬物を分け合ったものだけど、今の時代にもこういう温もりの循環が始まっているのですね。靴を持ち込んだら神妙そうな学生さんにお礼を言われて、心が若返りました。ありがたいです。
地元でこういう動きが広まってるの、めちゃ希望だなって思いました。家に眠ってる服や本、学費の足しにもならないし誰かに使ってもらえるほうが嬉しい!友市、週末の楽しみにします。
うちの娘が学校でぐりーん友市の話をして帰ってきました。普段は捨ててしまう物にも、こうして第二の人生があるんですね。環境にも優しいし、地域も元気になりそうで応援しています。
お金じゃなくて気持ちで繋がる場所って素敵。ヴィーガンのお菓子とか、電気も自分たちで作るなんて、おとぎ話みたい!雨笠町、行ってみたくなりました。