子どもからお年寄りまで、あらゆる世代の心を繋ぐ新たな試みが、東北地方の沿線都市を舞台に始まりました。かつて通学や通勤で賑わった、今は観光列車としての役目を担う小さな二両編成の列車。その車内を、使わなくなった本や雑誌を寄付して運ぶ“セカンドライブラリー列車”に変えるプロジェクトが、静かに広まりつつあります。
発起人は元駅員の紺野理沙さん(48)。2年前、子育てがひと段落し「もう一度社会の役に立ちたい」と考えはじめたとき、自宅に積まれた小学生時代の絵本に目が留まりました。『これを、誰か読みたがる人のもとへ届けられたら』――そんな思いから近隣住民や友人たちに声をかけたところ、数日で200冊以上の本が集まりました。「本も、人の記憶も、町の景色も、再び新しい人生を旅できるのかもしれない、そう感じました」と紺野さんは微笑みます。
集められた本は、寄付した人が手書きで“本のストーリーカード”を挟み、次に読む人へのメッセージやエピソードを書き添えてもらいます。車内の長椅子に座った乗客が、好きな本を手に取り、読むことも、持ち帰ることも自由。逆に『手放すのがさみしいけれど、誰かに読んでほしい』という声も多く、利用者の多くが再び別の本や、使わなくなった雑貨を「リユースブック」として寄贈する動きも出始めています。
このプロジェクトは、環境意識の高いNPO「星灯りの森基金」との提携で継続的なカーボンニュートラル運行も目指しています。列車の動力には地元の小水力発電を活用。季節ごとに運行ルート各地の子ども会や高齢者サロンで『読み聞かせ会』や『お話リレー』も開催。移動式の小さな図書館は、町ぐるみの交流の場としても根付いてきました。
SNS上では、「小さな町の本の架け橋、毎月の楽しみになっている」「遠く離れた誰かと思い出を分かち合えるなんて素敵!」といった感想が寄せられています。環境社会学者の西條孝志氏は「物の再利用と心の交流が、“寄付”や“リユース”という善意のエコシステムを育んでいる。持続可能な未来のモデルになる取り組み」と高く評価。今日も“セカンドライブラリー列車”は、優しい物語と共に静かに線路を走り続けています。


コメント
子どもが本好きなので、こういう列車が近くにあったら毎週乗っちゃいそうです!思い出の絵本を誰かと分かち合えるって素敵ですね。読んだ人のメッセージカードも楽しそう。家に眠ってる本もこうやって旅させてあげたいなぁ。
昔の通学路を走る電車が、今は地域の皆さんの交流の場になっているなんて感慨深いです。年をとると新しい本を買うより、人から受け継ぐ温かさが嬉しくなるものです。誰かの思い出が詰まった本を手にできるのは、まさに心の贈り物ですね。
正直こういうアイディア、めっちゃ憧れます!自分も漫画とかノートとか、手放すの迷ってたけど、読んでくれる誰かがいるなら思いきり渡したくなりました。自作の物語とか挟んでもOKかな?こういう優しいプロジェクト、全国に広がればいいのに。
うちのお店の前にもよく観光列車通ってて気になってたんです!今度家族と一緒に乗って、本選びながらのんびり旅してみたくなりました。本だけじゃなくて雑貨までみんなでリユースするの、なんだか昔の“おすそわけ”みたいでほっこりします。
なんかこういう話聞くだけで、優しい気持ちになれます。遠くの誰かと本で繋がるって、本当に素敵…。地元の発電を使ってるのもエコでいいし、環境も人も幸せになるアイデア、もっと増えてほしいです。