森と人のゼロウェイスト共生計画、動物たちがごみ回収を応援

和田木町の学校で児童たちが堆肥を混ぜている傍ら、鹿の親子が柵越しに見守る風景。 ゼロウェイスト
堆肥づくりに取り組む児童たちと興味深そうに見つめる鹿の親子が織りなす、和田木町ならではの温かな一場面。

北の丘陵地帯に広がる小さな街・和田木町では、ごみゼロ運動が思いも寄らない形で広がりを見せている。住民たちと森の動物たち、さらには町外の来訪者までをも巻き込む“不思議な協力”が話題を呼んでいる。

すべての始まりは、サステナブルファッションの実践者・三橋夏帆さん(28)が始めたアップサイクル素材の量り売り店。不要になった布や古い洋服を持ち寄ると、その重さ分だけ「森の通貨」と交換できる。店頭には、近隣に棲むリスやカケスが集めてきた木の実や小枝、どんぐりで作られたブローチも並ぶ。『朝、店を開けると木の実がちょこんとおいてあるんです。リスも“ごみゼロ”に協力してくれるみたいで、ほっこりします』と三橋さんは笑顔を見せる。

町の資源回収所にも新たな風が吹き込んだ。環境学を学ぶ大学生・河野太陽さん(21)が設置した“ごみ交換掲示板”には、『カラスの巣作り用に藁ください』『ペットボトルキャップをウサギの穴ふさぎに譲ります』といった張り紙が並ぶ。ごみが資源になるだけでなく、野生動物たちとのシェアリングエコノミーが自然発生的に始まった。掲示板を利用する80代の主婦・白沢瑞枝さんは『昔は物を分け合うのが当たり前だった。今は動物も人間もその輪の中にいるのが嬉しい』と目を細める。

さらに、町内の学校では児童たちによる“生ごみ堆肥プロジェクト”が好評だ。給食の生ごみを本格的な堆肥に変え、近隣の森の植樹活動に使う仕組みだが、プロジェクトに協力してやって来るのは人だけではない。活動を始めてからシカの親子がしばしば見学(?)に現れるようになり、『シカが遊びに来る堆肥場』としてSNSでも注目されている。シェアリングガーデンで土を混ぜる児童の手元に、小鳥たちがついばみにも立ち寄るとか。

この“ごみゼロ”と“森と共生”の流れは、町の外にも波及しはじめている。連携している近隣の自治体から視察団が訪れ、自然と調和した資源循環に関心が高まっている。生ごみ堆肥化のコツや、動物たちとの協力例を紹介する「ほっこり交流会」もスタート。SNSでは『#わだきゼロウェイスト』『#森のともだちリレー』といったハッシュタグが広がっている。環境ジャーナリストの三田浩樹さん(35)は『自然と人、動物までが助け合う循環は、持続可能性だけでなく心の豊かさも育む』と語った。

和田木町のゼロウェイスト革命は、ごみを減らすだけでなく、忘れかけていた“ともに生きる”温かな記憶を、町に、森に、そっと芽吹かせている。

コメント

  1. 子どもと一緒に記事を読んで、こんな素敵な町で暮らせたらいいねと話しました。動物たちと協力してごみを減らす取り組み、とても温かい気持ちになりました。うちの近所でも真似したくなります!

  2. いや〜、昔はご近所さん同士だけじゃなく、動物とも自然と関わっていたんだよなあと思い出しました。今の若い人たちがこうやって新しい形でつながりを作っているのを見ると、まだまだ世の中捨てたもんじゃないですね。

  3. 読んでてほんとにほっこりしました!リスやシカが協力者になるなんて可愛すぎます。うちの学校も生ごみ堆肥やってみたい!SNSのハッシュタグもチェックします😊

  4. 森から鳥やリスがやってくるのを最近よく見かけるなって思ってましたが、こんな素敵な活動の一部だったとは知りませんでした。町全体がほんわか明るくなった感じがして、散歩も楽しくなりました。

  5. 動物たちと一緒にゴミゼロを目指すなんて、発想がすごい!でも、カラスが藁をもらう掲示板って、逆に頭良すぎて負けそう(笑)子どもに誇れる町のニュースをありがとう。