青空の下、投票所からこぼれてくる優しい笑い声。そんな温かな風景が全国各地で話題になっている。「お菓子のお返し投票」と銘打たれた新しい市民運動が広がり、人と人とのつながり、そして政治への参加意識まで、じんわりと根付いている。
この運動の火付け役となったのは、大学3年生の松原あやねさん。友人たちと投票に向かった帰り道、近所の主婦(58)、重岡律子さんが自作のクッキーを手渡してくれたことが始まりだった。『ありがとう。あなたたちの1票、きっと町の未来につながるよ』――温かい言葉とともに受け取ったその味に、あやねさんは胸がいっぱいになったという。翌日、彼女はSNSに「投票に行ったらクッキーもらえたよ! 次は家のパウンドケーキ持っていこう」と投稿。すぐに友人や地域の若者が「私もやる!」「投票行動が楽しくなった」と続いた。
やがて運動は世代を超えて広がり、高校生グループや高齢者会も参加。投票所の外では、手作りのレモネードや折り鶴、手描きのメッセージカードが静かにリレーされるように。これまで投票に消極的だった人々も『お菓子を通じて会話が生まれると、なんだか参加しやすい』『単なる一票じゃなく、みんなで未来を考える時間になって嬉しい』と頬をほころばせている。
行政側もこの波を温かく見守る。都道府県選挙管理委員会の職員(45)は『想像以上の反響に驚いている。投票所が“顔なじみと出会って談笑できる場所”へと変わりつつあり、まさに理想的な市民参加が広がっている』とうれしそうだ。各地の投票所では地元和菓子店が協賛し、限定おまんじゅうを振る舞うなど、ユニークな盛り上げも進行中だという。
SNS上では『今年の投票も楽しかった!』『手編みのコースターもらっちゃった』『家族みんなでお返しマフィン作りました』と投稿が相次ぐ。ネット選挙の啓発に取り組むNPO代表の楠見大輔さん(38)は『政治参加は難しいものじゃなく、“誰かに笑顔で会いに行くこと”なんだと実感した』と語る。お菓子や小さな贈り物が、世代や立場、価値観の違いを優しくほどき、新たな市民対話の芽を育てている。
今年はすでに8割を超える有権者が、誰かに“お菓子のお返し”をしたと答えているという。この小さな行動が、町の未来をやさしい微笑みで彩る一歩となりそうだ。


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