商店街発“ローカルスパイス鍋”が街を一つに 防災訓練が楽しい伝統行事へ

商店街の屋外で大鍋を囲みながら住民たちが笑顔でスパイス鍋を取り分けている様子。 地域社会
春の防災訓練を彩るスパイス鍋を囲み、朝富商店街に笑顔が広がった。

伝統と笑顔が交わる不思議な力——今月、静岡県富士市の朝富商店街で行われた防災訓練が、地域の新しい『祭り』として話題を呼んでいる。きっかけは、商店主の広瀬航一(47)が開発した、地元の香辛料をふんだんに使った“ローカルスパイス鍋”。その香りが、訓練会場を包み込んだ瞬間、誰もが『今年もこの日を待っていた!』と笑顔を弾ませた。

今年の防災訓練には、商店街、自治会、小学校の児童といった住民およそ400人が参加。避難誘導や消火器の使い方の体験に加え、最大の目玉となったのが、町の食材で仕立てたスパイス鍋だ。材料は全て商店街で仕入れた野菜や鶏肉、そして今や町の名物となった“富士八味”。広瀬さんが昨年試作し、1年足らずで住民の間に浸透した“奇跡のスパイス”だ。「子どもも大人も、警報訓練の後にこの鍋を囲む瞬間を楽しみにしてくれている。具材を鍋に入れる手つき一つひとつが、みんなの絆を感じさせてくれます」と広瀬さんは語る。

このスパイス鍋を通じた交流は防災行動の意識改革も生み出している。家族皆で避難所に来る人が増え、高齢者のサポートを自然に手伝う若者も多い。町内会長の田辺誠司(62)は、「買い物客、学生、年配者。みんなが『今日だけは特別』と心を一つにする。防災訓練が義務でなく、楽しみになるなんて、昔は考えられなかった」と笑顔で語った。

SNS上でも『#商店街スパイス鍋』『#みんなで防災』といったハッシュタグが瞬く間に広がった。「災害への備えを学ぶ日に、おいしいスパイス鍋で温まれるなんて日本一素敵な街!」や、「子どもが進んで防災リュックを点検するように。鍋のために集まるのも理由になる」といった声が投稿されるなど、住民の連帯感は全国にも波及している。

伝統文化と防災意識の融合を象徴するこの取り組みには、専門家も注目している。防災教育に詳しい京都大学の安藤真由美教授は「防災訓練は続けること自体が難しい課題。地元の名物や温かな交流という“ごほうび”があることで、無理なく根付いていく。地域資源と文化の力の素晴らしい実例」とコメントした。

鍋を取り分けながら響く笑い声と、店主たちのエプロンについた”富士八味”の香り。富士市朝富商店街では、今年も春の防災訓練が、未来に続く伝統の一ページとして刻まれた。

コメント

  1. 子育て中の母として、とても素敵な取り組みだなぁと感じました。うちの子も防災訓練は少し怖がっていましたが、スパイス鍋があれば「また行きたい!」と言いそうです。楽しい思い出と一緒に大事なことが学べて、本当に羨ましいです!

  2. ワシも昔からこの商店街に住んどるが、こうやって若い人や子どもたちが自然と集まる光景を見ると、本当に心あたたまる。鍋を囲んで会話も弾むし、いざという時の安心にもつながる。いい時代になったもんじゃねぇ。

  3. 高校生です!この記事読んで、めちゃくちゃ楽しそうと思いました!防災訓練って地味で退屈なイメージだったけど、みんなでワイワイスパイス鍋を食べられるなら私も参加してみたい!うちの町でもやってほしい~!

  4. 朝富商店街の近くに住んでいます。今年初めて参加してみて、普段話すことのない方ともたくさん交流できました。スパイス鍋のおかげで、地域がより身近に感じられて幸せな気持ちになれました。来年も楽しみです♪

  5. こういうニュースは見ていてほっこりしますね。防災って構えるものだと思い込んでいましたが、笑顔で集まれる工夫ってすごく大事なんだと気づきました。僕も何か自分の地域でできることを探してみたくなりました!