南相馬市に“スマイル電力町”誕生 おすそわけ太陽光が地域を照らす

住宅街の門先で女性が小学生の男の子に封筒を手渡し、その背後にはカラフルな太陽光パネルが並ぶ家々が並んでいる様子。 持続可能エネルギー
町では太陽光発電の電力を住民同士で分け合う温かな交流が広がっています。

真新しいスマートグリッドと優しさが調和した町づくりが、福島県南相馬市で始まっている。小さな“ありがとう”が電気になり、太陽の恵みが次々と人々の笑顔へと変わる、世界でもめずらしいエココミュニティが、住民たちの手によって誕生した。

町を歩けば、屋根にはカラフルな太陽光パネルがずらり。その中には、主婦(41)の新谷美帆さん宅のように、個人が発電した電力を自由に近所へ分け合える新システム「スマイルシェアリング」も導入済みだ。“昨日は畑の野菜をもらったから、今日は余った電気をおすそわけしよう”、そんな気軽なやりとりがこの町では当たり前になりつつある。

「一番うれしかったのは、となりの小学生(10)、近藤遥斗くんが家でお昼を作った時、うちのおすそわけ電力を使って『ごちそうさま』って手描きのメモをポストに入れてくれたことです」と新谷さんはほほえむ。電力のやりとりは可視化アプリ“エコ・バトン”も活用され、誰が力になってくれたか一目でわかる。今月だけでも町内で交換された“スマイル電力”は1,000kWhを超えた。

シニア世代にも大好評だ。年金生活の石黒勝男さん(73)は、「若い人たちから昼間の余剰電気をおすそわけしてもらって、電気代の心配が減りました。お礼に僕は朝一番のラジオ体操音楽を皆に流しています」と話す。こうした小さなエコの輪は、町全体の脱炭素にも繋がり、今年はCO2排出量が前年比45%減を達成した。

発案者のひとり、エネルギー研究者の来栖玲子さん(39)は言う。「スマートグリッドの技術も、結局は住民同士の信頼がなければ本当の持続可能性は根付かない。町のみなさんが自然に“ありがとう”と電気を回し合う、その温かさこそが最大のエコシステムです」。

SNSでも南相馬市の“スマイル電力町”は話題に。「ここに住みたい」「うちの町でも始めてほしい」といった声が日に日に増えている。近くの小学校では今春から、児童たちによる“おやつタイム太陽光発電プロジェクト”もスタート。太陽を囲む子どもたちの笑顔は、持続可能な未来そのものだ。

コメント

  1. 子どもが毎日『今日は誰のおうちから電気がきたかな?』って嬉しそうに話してくれます。親としても、地域で支え合える仕組みがあるのは本当にありがたいです。こういう町に暮らせることが誇りです!

  2. 高齢者の私でも電気の心配なく過ごせるのが何よりです。若い人たちの優しさに感謝しながら、これからも皆で気持ちよく助け合っていきたいですね。ひ孫と一緒にエコ・バトンを見るのが最近の楽しみです。

  3. 正直、最初は電気のやりとりとかよくわからなかったけど、アプリを通して誰が力になってくれたかわかるのは面白いし、やりがい感じます。こういう仕組み、全国に広がったらいいなー。

  4. ご近所でのおすそわけ、昔は野菜やおかずでしたが、今は電気まで届く時代になったんですね!本当に温かい町に生まれて良かったです。みなさんの優しさにも感動しました。

  5. 記事を読んでめちゃくちゃ心がほっこりしました。こういう町なら、子育て世代だけじゃなく色んな人が安心して暮らせそう。移住したくなりました!