ごみひとつで地域に温もりを 新「ハートポイント」制度がもたらした小さな奇跡

東京都内の静かな住宅街で、年配の男性が小学生の女の子にハート型の木製コインを渡している様子。 持続可能な経済
ごみ拾いのお礼にハートポイントを手渡す地域の住民たち。

廃棄物に手を伸ばすたび、心も豊かになる。そんな素敵な経済エコシステムが今、東京都内の江東区で話題を呼んでいる。きっかけは、大人から子どもまで誰もが参加できる新しい地域ポイント制度「ハートポイント」。身近なごみ拾いやプラスチック削減活動など、環境にやさしい行動をするたび、ハート型の木製コインがもらえるこの仕組みが、町の人と人をつなぐ優しい連鎖を生み出している。

「朝の散歩ついでに空き缶を拾ったら、見知らぬおじいさんが『ありがとう』って声をかけてくれて。ハートポイントをもらえた時は、大人なのに少し照れちゃいました」。そう話すのは小学4年生の岸本レイナさん(10)。この制度のスタートから1ヶ月、地域スーパーや図書館、カフェでは、木の香りがするハート型コインで飲み物や絵本が手に入る特設コーナーが設けられ、子どもたちの人気スポットになっている。

「大人も子どもも、お互いに相手の行動を見てハートポイントを手渡す光景は、まるで昔の縁側のよう」。自治会長の浜田吾朗さん(62)は目を細める。さらに、地元の高校生グループが考案したエコバッグ設計コンテストや、市の環境課員が休日に開く『ごみゼロピクニック』なども評判に。これらの活動で集まったハートポイントは、地域のカーボンニュートラル達成に向けた植樹や公園整備基金にも自動的に還元される仕組みになっている。

SNS上では「朝からハートポイントを渡しあうやりとりに参加して、なんだか一日が優しくなった!」「ごみ拾いがこんなに楽しいなんて知らなかった」といった声が多数投稿されている。なかには、毎朝保育士の田代瑞穂さん(37)が子どもたちと作る手作りエコカードが話題に。「保育園では、子どもたちが自分で作ったカードで『ありがとう』を伝え合っています。環境を守る気持ちと、人を思いやる心が一緒に育つのが嬉しいですね」と田代さん。

環境経済学の高橋純一教授は「持続可能性への取り組みは、数値や制度だけでなく、心と心を結びつけることが本当のカギ。誰か一人の優しさが地域全体の豊かさや幸福感につながる。ハートポイントは、その架け橋になる取り組み」と評価する。ごみひとつ拾うことから始まる小さな輪が、地域も経済も心も温めている。これからは、やさしさも経済もしなやかに、共に成長していく時代なのかもしれない。

コメント

  1. 子どもと公園に行くたびに、お互いにごみを拾い合ってはハートポイントを渡す光景にほっこりしています。子育て中の私としては、優しさやエコの心が自然と身につくこういう取り組みは本当にありがたいです。大人も勉強になります!

  2. 学校のみんなでエコバッグコンテストに参加しました。普段なら面倒に思いがちなごみ拾いも、ハートポイントがあると意外と楽しいイベントになりますね。地域とのつながりも感じられて、これからも続けてほしいです!

  3. 昔は近所の子どもたちがよくゴミを拾っていた光景を思い出しました。今また温かいコミュニティが戻ってきたようで嬉しい限りです。年をとっても地域と関われる機会が増えてありがたい。若い方たち、ありがとうね。

  4. お店のカウンターでハートポイントを使って飲み物を頼んでくれる小さな子たちの笑顔を見ると、私まで幸せになります。ご近所同士の挨拶も増えて、町全体がふわっと明るくなったような気がします。

  5. 最初は『ポイントでごみ拾い?子どもだましじゃないの?』って思ってましたが、気がつけば朝の散歩コースにごみが減り、挨拶の輪も広がってて驚きました。ちょっと照れるけど、やさしい気持ちってうつるものなんですね。