森のウェルビーイング・タウン:一日の始まりは全員で“朝の森林浴”から

朝の森の中でストレッチをする人々と、近くに屋外朝食テーブルがある風景。 ウェルビーイング
町営森公園で朝の森林浴に集まる花柳町の住民たち。

「街全体が前向きになった」と住民から喜びの声があがるのは、岩手県南部の花柳町。この春、街全体で取り組むウェルビーイング推進プロジェクト『朝の森林浴チャレンジ』がスタートした。今では朝7時になると、年齢や職業もさまざまな人々が、町営森公園の木立に集う光景が日常となっている。専門家監修のもと組み立てられたこのプロジェクトは、住民の健康と幸せを見守り、町内の絆を深める新しい試みだ。

発案したのは、管理栄養士の飯田瑞穂(38)とフィットネスインストラクターの佐藤勇太郎(41)。町で増え続けるストレスや孤立感に心を痛め、「地域で自然とともにポジティブな時間を持つことで心身の健康を取り戻せるのでは」と考えた。「森林浴と軽運動、そして毎週替わる地元食材の朝ごはんを取り入れることで、体も心もリセットできる新しい一日の始まりを目指しました」と飯田さんは話す。

毎朝、参加者は森公園の杉林にゆるやかなストレッチをしながら集まり、鳥の声を聞きつつ、深呼吸やウォーキング。「自分の一歩一歩を森が応援してくれている気がする」と語るのは、会社員の野口香織(52)。特別に用意された『旬の森カフェ』では、森のベリー入りヨーグルトやオートミールおにぎりなど、栄養バランスに配慮した朝食が無料でふるまわれている。SNSには「通勤前の20分でも心が晴れる」「大人も子どもも一緒に朝を迎えるのが新鮮」といった投稿が相次ぎ、#花柳ウェルビーイング のハッシュタグも話題だ。

この取り組みは、単なる健康促進にとどまらず、見知らぬ人との小さな会話や、子供たちが高齢者にストレッチの仕方を教えるような世代交流も育んだ。参加を重ねるうち、農家の木村泰斗(65)は「森の中でとなりにいたお嫁さんと毎朝話すようになった。おかげで家族の時間も増えてうれしい」と頬をほころばせる。最近では保育園や中学校も独自プログラムを企画し、町全体が“森とともにある朝”を楽しむ雰囲気が広がる。

公園近くの診療所で働く看護師・白石志帆(29)は「森林浴の効果で血圧が安定したり、睡眠の質が上がったという患者さんが増えました」と証言する。一方で『旬の森カフェ』チームは「新鮮な食材をふるまいながら、いろんな立場の方々が笑顔で話してくれる。それが何よりのやりがい」と語った。企画側は今後、週末に親子向けのウェルビーイング散策会や、町外の人も招くスペシャルデーも展開する予定だという。

「自然の力と人の優しさがあれば、小さな奇跡は毎日起こせる」。花柳町の“朝の森林浴”は、住民みんなのポジティブな気持ちを後押ししながら、新しい形の地域の絆を築きつつある。

コメント

  1. うわぁ、こんな取り組み本当に憧れます。子どもたちと一緒に自然の中で一日を始められるなんて素敵ですね!朝ごはんも無料って、親としてもすごくありがたいです。うちの町でもやってほしい~。

  2. いつもSNSで見かける#花柳ウェルビーイング、実際にそんなに楽しいのかなと思ってました。朝早いのは苦手だけど、森でみんなでストレッチとか絶対気持ちいいんだろうなぁ!行ってみたい!

  3. 若い頃は近所の皆でラジオ体操したものです。今こんなふうに世代を超えて集まれる場があるのは、本当に羨ましい。私も孫と一緒に参加できたら幸せですね。花柳町のみなさん、元気で何よりです。

  4. 毎朝森公園で顔なじみが増えて、会釈やちょっとしたおしゃべりができるのが嬉しいです。心が軽くなる時間。考えてくださった飯田さん、佐藤さん、ありがとうございます!

  5. 最初は「朝から森?正直めんどいな」と思ってたけど、参加してみたら本当に気分がスッキリする!無料の朝ごはんも地味にうれしい。普段話さない人とも自然に話せるのがいいですね。