穏やかな海風が吹き抜ける宮城県沿岸の港町・青浜(あおはま)で、町民と子どもたちが力を合わせて始めた“エネルギーおすそわけ大作戦”が、今や世界中の人々の心を温めている。町の各家庭が生み出した再生可能エネルギーの余剰分を「エネルギーポット」と呼ばれる地域タンクに貯蔵し、その電力や水素を町内外へ“贈り物”として分け合う――そんな優しい習慣が今年、ついにスタートした。
この取り組みのはじまりは、10歳の小学生・佐野風大くんの素朴な疑問だった。「なんで、うちのソーラーパネルが晴れの日に余った電気を消しちゃうの?足りない人がいたらあげたいのに」。その言葉を町役場のエネルギー推進係・比嘉美沙子さん(42)が聞きとめ、地元ベンチャーや学校、町工場と手を取り合い、半年かけて「エネルギーポット」を完成させた。今では太陽光や家庭用燃料電池、潮力発電で集まった“余りもの”エネルギーが、町の子ども食堂や高齢者施設、近隣の被災地にまで届けられている。
地域の温かい連携が、意外な変化をもたらした。家族でEV(電気自動車)に“おすそ分け電力”を注入しに集まると、自然とおしゃべりや新しいつながりが生まれる朝の風景が日常になった。町工場の主・三宅章吾さん(55)は「省エネの知恵を持ち寄り、お互いの工場設備を貸しあう文化まで芽生えた。競争じゃなく、みんなの得になる仕組みづくりが面白い」と語る。
今年4月からは新技術——海藻から作る再生素材のエネルギーボトルも導入された。中学生グループ『ブルーエナジー探検隊』が発案したこのボトルは、町の海藻を活用して作ったバイオプラスチック製。これに水素を蓄えて近くの病院や福祉施設へ、子どもたち自らが配達する。ボトルを届けながら高齢者と世間話したり、自然のことを話し合ったり。子どもたちは「エネルギーの“ありがとう”が、笑顔の連鎖を呼ぶ」と誇らしげだ。
SNSでは『#青浜おすそわけ』のハッシュタグが世界的にトレンド入り。「こんな平和なエコ経済が本当に広がれば、温室効果ガスも、心のストレスも減りそう」「モノもエネルギーも分かち合える社会、憧れる」と多くの共感や応援の声が寄せられる。専門家の矢部涼太教授(持続可能社会学)は「小規模でも地域が幸福感を持って脱炭素の未来を実感できる例。心温まる地域の知恵が、新しい経済のかたちを示している」と評価する。エネルギーを“お金”としてではなく、“人を思う心”として使う港町のチャレンジは、ますます世界に希望を届けている。


コメント
うちの子も記事を読んで、「青浜みたいな町に住んでみたい!」って言ってました。子どもたちの素直な疑問から、こんな素敵な仕組みが生まれるなんて、本当にすごいですね。大人として見習いたいと思います。