「孫たちともっと一緒にいたい」——そんな思いが思わぬかたちで全国に広がり始めている。社会保障制度のデジタル化が進む中、ある小さな町で生まれた“おてつだい便”プロジェクトが、いま多くの世代と地域を優しく結びつけている。
今年2月、北海道の十勝町に住む70歳の遠藤志津子さんは、マイナンバーカードから申請できる「おてつだい便」を使って、離れて暮らす小学5年生の孫・拓馬くんに“お手伝いリクエスト”を送信した。リクエストはすぐに町役場のサポートセンターと繋がり、地域包括ケアの一環として近隣の小学生にも公開された。それを見た地元の子どもたちが「一緒に読書を」「お花に水やりを手伝いたい」と手を挙げ、週末ごとにお年寄り宅へと足を運ぶ光景が生まれた。遠藤さんは「拓馬も照れくさいらしく、はじめは遠巻きだったけど、今では自分からおつかいに誘ってくれるようになりました」と笑みをこぼす。
この取り組みは、単なるお手伝いを超えた“世代間の小さな保険”と呼ばれ始めている。参加した子どもたちには、ボランティアポイントとして“地域思いやりポイント”がマイナンバーに記録される。たまったポイントは、将来介護が必要になったときや大学進学時のフードバンク支援、公共交通の優遇など、様々な社会保障サービスと柔軟に交換できるユニークなシステムだ。拓馬くん(11)は「おばあちゃんにポイントを使っておもちゃを贈れると知って、もっと頑張りたくなったよ」と自信をのぞかせる。
おてつだい便は一気に全国へと波及し始めている。徳島県の25歳会社員・山川遼太さんは、ひとり暮らしの高齢者に買い物を届ける活動に参加。「出会ったおばあさんとおはぎづくりを教わり、今では月に一度一緒に料理しています。地域に溶け込んだ実感が嬉しい」と語る。社会保障費の抑制にもつながるとして、今春からは介護離職防止の“ゆるやかヘルプ”支援や、遺族年金受給者向け生活相談も連携が始まった。
専門家の香川大学 福井修教授(社会福祉学)は「制度のデジタル基盤を活かして、人と人とのゆるやかな支え合いが広がっている。世代間格差の解消は数字だけではなく、こうした体験の連鎖でこそ生まれる」と話す。SNSでも「#おてつだい便」で「母と孫の距離がぐっと近づいた」「子どもに“誰かの役に立つ喜び”を教えられた」といった声が絶えない。
社会保障の“しなやかさ”をデジタルが支え、そして、人の優しさが主役となる時代へ——。マイナンバーカード一枚からはじまった三世代のほほえましい連鎖は、今日も静かに日本中の街角で続いている。



コメント
小学生の子どもがいる親として、こういう取り組みが地元にもあったらいいなって思います!子どもが世代を超えて交流できるの素敵だし、思いやりポイントの仕組みもやる気につながりそう。ぜひ広まってほしいです。
私は高齢者の一人暮らしですので、本当にありがたいプロジェクトだと思います。子どもたちが来てくれると、家の中が明るくなりますし、若いエネルギーをもらえます。こうして助け合いが広がる日本、まだまだ捨てたもんじゃないですねえ。
ボランティアポイントがマイナンバーにたまるって、なんか新しい!将来に役立つなら積極的にやってみたいし、地域の人とも仲良くなれそう。自分の町にもできればいいな〜。
うちの町内会でも似たことを考えてたので、この記事を読んでとても勇気をもらいました!子どももお年寄りも、みんながつながって支え合う、そんな温かい町にしていきたいです。
今どきのデジタルも、使い方次第でこんなに優しくなるんですね。昔の隣組みたいな繋がりが、形を変えて戻ってきた感じで、なんだか懐かしくてホッとしました。