ペースメーカーが生んだ奇跡のマラソン、沿道に広がる笑顔の波

カラフルなランニングウェアを着たランナーたちが、手書きのメッセージ入りゼッケンを見せて笑顔で会話しているマラソンのスタート地点の様子。 マラソン
心温まるメッセージ入りのゼッケンを付けたランナーたちが、笑顔でスタートを迎えました。

今年の本州マラソン大会は、例年以上に温かな感動に包まれました。ひとつのきっかけは、大会を支えるペースメーカーたちと参加ランナー、沿道の住民が織りなした思いがけない心温まるハプニング。42.195キロのコース中に広がった優しさと笑顔の連鎖は、SNSで大きな話題となりました。

大会当日は快晴。朝早くからカラフルなランニングウェアに身を包んだランナーたちが集まり、それぞれ思い思いの目標タイムのゼッケンをつけてスタート地点に立ちました。例年、ペースメーカーの役目は淡々と正確なペースを刻み、ランナーを導くこと。でもこの日は少し違いました。運営からペースメーカー全員に配られたのは、目標タイムの数字のほか、『今日の一言メッセージ』が書かれた特製ゼッケン。「勇気を出してみよう!」「最初の一歩が宝物」「隣の仲間にエールを」。この予想外のサプライズは、スタートする前からランナーたちの心をほぐし、笑顔にしていました。

走り出して間もなく、理学療法士の米津詩織さん(32)は、楽しそうに声かけをするピンク色のゼッケンをつけたペースメーカーに気付きました。「少し歩いても大丈夫、あなたらしく!」と背中越しに読んだとたん、緊張していた肩がふっと軽くなったといいます。同じグループで走る主婦の中井さくらさん(41)も、「隣を走る見知らぬ人と自然と笑い合えた。みんなで励ましあえたのは、このメッセージのおかげ」と振り返ります。

沿道では、例年以上に地域の子どもたちやお年寄りが応援に集まりました。「ペースメーカーのゼッケン、見てて元気出た!次は自分もあんな応援ゼッケンを作りたい」という声が地域小学校のSNSで広まり、急きょ手作り応援旗を配るプロジェクトも始まったとのこと。また、偶然にも同じメッセージを掲げた親子ランナーが、最後の5キロを手をつないで笑顔でゴールする姿には、観客からひときわ大きな拍手が送られました。

今回の取り組みを発案した大会運営委員の百瀬太志さん(45)は「マラソンの原点は、記録だけでなく一人ひとりの想いをゴールまで運ぶこと。今年は特に、助け合いや励まし合いから生まれる絆をみんなで感じてほしいと思っていた」と語っています。SNSでは「自然に声をかけあえる雰囲気が素敵だった」「来年は自分も誰かのペースメーカーになりたい」など、感動の声が相次いでいます。

偶然や優しさが重なり生まれた、マラソンというスポーツが持つ本来の温かさ。その余韻に、多くの人が心からの笑顔を浮かべて家路につきました。

コメント

  1. 子どもが沿道で応援していたんですが、ペースメーカーさんのゼッケンのメッセージがすごく素敵だったみたいです。会場から帰ってきてからも『勇気を出してみよう!って書いてあったよ』って話してくれて、親子でほっこりしました。来年はうちも旗作りに参加したいです!

  2. こんな温かいマラソン大会は初めて聞きました。年を重ねると応援する側になることが多いですが、そういうメッセージが沿道にも届くというのは本当に嬉しいことですね。皆さんが支え合う様子に、昔の町内運動会を思い出して少し涙が出ました。

  3. 自分もランニングサークルに入っているので、こういうイベント記事を読むと勇気をもらえます!タイムや順位ばかり気にしがちだけど、こんな風に誰かの力になれたら最高だなって思いました。来年は友達と応援に行ってみます!

  4. 自宅近くがコースなので毎年見に行きますが、今年はいつも以上に笑顔が多くて、見ている側も元気をもらいました。応援旗のプロジェクトも素敵ですね。まちが一丸となれる、こういう温かい出来事が増えてほしいです。

  5. 最初はSNSで話題になってて『なにがあったの?』と気になりました。記事を読んでなるほど納得!正直マラソンに特別な思い入れはなかったけど、こういう優しい輪が広がるのっていいですね。息子と一緒に来年は沿道で声援送りたいです。