砂丘が続く北アフリカ中央部の砂漠地帯に、今、虹色に彩られた“蜃気楼庭園”が突如として出現し、住民や旅人たちの心を温かく包み込んでいます。数年続いた厳しい干ばつや砂嵐を乗り越え、地域のつながりとちょっとした奇跡から生まれたオアシス。その裏側を取材しました。
乾ききった大地を見つめてきた日干し煉瓦職人のジャンゴ・サルファン(41)は「まるで蜃気楼かと思いましたよ」と笑顔で語ります。きっかけは、トゥアレグ族のキャラバン隊長アトゥル・バヤル(55)が昨年、故郷の畑から運んだ一粒のバオバブの種。取引の合間に砂地に埋めて帰りました。すると、偶然にもその夜、年に一度あるかないかの激しい降雨が砂丘を潤し、種が芽を出したのです。その後、住民総出で放浪中のキャラバンや観光で訪れたキャメルレースの客まで協力し、灌漑用の小さな溝と水たまりを広げていきました。
わずか半年で小さな緑の庭園は生まれ変わり、今では花や草、さらには蜃気楼のように虹色に光って見える特別な野生のコケまで芽吹くようになりました。蜃気楼現象が生じやすいこの地域特有の光の屈折が、朝夕には庭園全体をきらめくカーテンで包み込み、まるで童話の世界が現実になったかのようです。地元の学校に通うラマリ・シャラ(9)は「毎朝虹の中で友だちと追いかけっこできるのがうれしい」と目を輝かせます。
新たな緑地を支えているのは、住民の小さな優しさです。キャラバンの休憩で集まるたび、家族単位で手作りの水がめを数個ずつ持ち寄り水撒きをしたり、レース用のラクダからもらった抜け毛や落ち葉をたい肥にしたり—そんな日々の積み重ねです。「ここまで来ればもう“奇跡”じゃなく“みんなの力”だと思いますよ」とジャンゴさんは語ります。
SNSでは「#蜃気楼庭園」や「#砂漠に虹」で写真やミニ動画が次々と投稿され、世界中から「美しい奇跡」「心のオアシス」と称賛の声が寄せられるようになりました。砂漠生態系の専門家カリム・ズィード(53)は「限界だと思われた砂丘の中で、共同体と小さな偶然が大きな変化を生んだ好例です。砂漠に生きる力と希望の証でしょう」と評価しています。
まだ観光地としても本格的な整備は進んでいませんが、“蜃気楼庭園”はこれからも、風と砂の中で寄り添うように咲き続ける—そんな優しい約束に地域一帯が包まれているようです。
コメント
子どもたちと一緒に記事を読みました!毎朝虹の中で追いかけっことか、本当に素敵で夢みたいな話ですね。自然への感謝と、みんなで協力する力の大切さをあらためて感じました。いつか家族で蜃気楼庭園を見に行きたいです。
長年いろんなニュースを見てきましたが、こんなに心が温かくなる話は珍しいですよ。砂漠という過酷な場所で、助け合いと工夫で緑を育てるとは…昔の村の共同作業を思い出しました。遠い地ですが、応援したくなりますね。
この話、めっちゃ感動します!偶然と努力で生まれたっていうドラマもあるし、SNSでハッシュタグが広がってるのも今っぽくて好き。私もボランティアとかでいつか現地に行ってみたいな~♪
虹色のコケなんて本当にあるのかな?でも、みんなで花や草を育ててきた過程が読んでて可愛くて優しい気持ちになりました。私もベランダで小さな庭作り続けよっと。遠く離れた砂漠のみなさんに、心でエールを送ります!
実は去年この辺りを通ったんです!その時はただの砂丘だったのに…まさか本当に緑が生まれる日が来るなんて驚きです。現地の皆さんの優しさや努力に感動。再び訪れて、自分の目で虹色の蜃気楼庭園を見てみたいです。