フクロウ型AIが導く、森と街を結ぶ“グリーンバス” 森林再生と地域の笑顔を運ぶ新発明

フクロウ型AI端末が設置された電動バスの前方車内で、乗客たちが笑顔で語り合う様子。 発明とイノベーション
フクロウ型AIが見守る電動バスの車内では、世代を越えて森の話に花が咲いています。

かつて大型伐採によって森との距離を感じていた岐阜県高山市の小さな集落で、森を守りながら地域を結ぶ新たなモビリティが話題になっている。一見すると普通の電動バス。しかし車内前方には大きなフクロウ型端末が、やさしげな瞳をキラリと輝かせている。この「フクロウバス」による“グリーンテクノロジー”の挑戦が、町に思いもしない絆と笑顔を生み出し始めた。

プロジェクトの発案者は、地元の環境技術者・鴨井ひろき(37)。元々山歩きが趣味で、子ども時代から森の生き物の声に耳を傾けてきた。「森が人になにか言いたがっている気がしたんです」と鴨井。過疎化で路線バスが廃止され、車を持たない高齢者が山里と町を行き来しづらくなったこともあり、森の声と地域交通を融合させる構想が温められた。

誕生したフクロウ型AI端末『コノハ』は、独自の音響センサーでバス周辺の植物や鳥のさえずり、土壌の微細な変化まで解析。運行ルートを通じて、森の健康状態をAIが「おしゃべり」で優しく解説し、必要な場所への植樹や下草刈りの計画も立ててくれる。バスが定員に満たない日は“森のお仕事の日”となり、乗客が希望すると途中でバスを降りて森の手入れに参加。乗車ポイントが地域通貨として発行され、近くの商店やカフェで使える仕組みだ。

運行初日には、70歳の主婦・大竹よしこさんが「コノハが教えてくれるのね、『ここの山桜、元気がない』って。昔はおじいちゃんが山仕事してたけど、今はバスでみんなと一緒に森に行ける。不思議で楽しい」と笑顔。中学生の奈緒くん(14)は「帰り道、みんなで鳥の声クイズをやって、知らないおばあちゃんがすごく詳しくてびっくりした!」と目を輝かせる。一台のバスが、ふだんなら出会わない人同士、森の話で盛り上がる場にもなってきた。

SNSでも「#フクロウバス」の投稿が相次ぎ、「森の悩みが人の会話になる新しい形」「子どもが毎回、“今日は何の木?”と楽しみに」「田舎の孤独感が減って、まるで大家族みたい」という声が並ぶ。環境社会学者の須田まさひと氏は「自然と人、地域経済が“三方よし”で結び直される素晴らしい事例。地方や都市の大小を問わず、まねしたいアイデア」と評価している。

鴨井さんは「目標は、森も人もずっと元気でいる町。『コノハ』を通じて、うれしい偶然や発見が毎日のバス旅に溢れたら」とにこやかに語る。今日も森と人の心を乗せて、フクロウバスは緑の中を静かに走り続けている。

コメント

  1. こんなバスがうちの町にもあったらいいのに!子どもが自然や森に興味を持てる機会って減ってるから、コノハみたいなAIが身近に森のこと教えてくれるの、すごく素敵です。親子で乗ってみたいです。