【リード】
北海道南部の広大な高原地帯で、この春、ユニークな『未来の森祭り』が開催され、地域住民と動物たちが力を合わせて豊かな生態系の恵みに感謝を捧げました。気候変動への新しい取り組みが温かな絆となり、森と人々の未来を照らしました。
札幌と函館の間に位置する美林町では、かつて薪炭林として伐採され、長らく荒れ地となっていた丘陵地が、12年前から始まった大規模な植林活動によって見事な森へと再生しています。この森は、住民ボランティアや地元の小学校・高校生たち、さらには移住してきた若いクリエイターたちが協力し、ドングリやヤマザクラの苗木を植え続けて守ってきたものです。今年、ついに再生した森が生態系として自立したことを記念し、“未来の森祭り”が初めて開催されました。
祭りの会場では、小川聡志(環境アーティスト・38)を中心に、住民が森の間伐材で創った音楽ステージが設置されました。そこではヒバリやカッコウの鳴き声を模した“鳥笛コンサート”が開かれ、来場した子どもたちが動物の着ぐるみをまとって森のリズムに合わせて踊りました。驚くべきことに、今年は本物のエゾリスたちが演奏にひかれてステージ近くに集まり、木の上からまるで観客のように見守っていたそうです。
食物連鎖を象徴するアート作品展示では、地元小学校3年生の金子亜衣さんが作った「森のごちそうピラミッド」がとりわけ注目を集めました。ドングリから始まり、リス、キツツキ、そしてフクロウへと命がつながっていく過程を、色とりどりの木彫りと布で表現。来場したお年寄りは「子どもたちが命の環をこんなふうに感じてくれてうれしい」と声を漏らし、会場にはやさしい温もりが広がりました。
また、植林活動を支えてきた主婦(55)の船橋美咲さんは、「森が増えたことで夏は涼しく、川の水もきれいになりました」と笑顔。「リスやフクロウも戻ってきて、孫と一緒に観察できるのが何よりの幸せ」と語りました。最近では町のSNSグループで“今日の森の声”と題して、町民全員が見つけた動植物の写真や音声を投稿し合うのが日課になっているそうです。
森の再生は、単なる緑化にとどまらず、炭素吸収量の増加や食物連鎖の多様化にも寄与しています。環境学者の成島英知教授(北海大学)は「人と動物、自然とアートが一緒になって持続する生態圏を作っている。これは新しい循環型社会モデルの一つ」と評価。児童や高齢者、転入者が垣根なく声を掛け合う“森の学校”も始まり、地域は今、小さいけれど確かな希望の輪で包まれています。
来年の祭りでは、森の動物たちと共演する“自然と人の大合唱”も計画中といいます。人も動物も、足元にある命のめぐりと温かなつながりを静かに祝う――美林町の森は今年も新しい春を迎えました。
コメント
子どもたちが森で自然とふれあいながらお祭りできるなんて、素敵です!動物の着ぐるみやアート作品も可愛いし、ぜひうちの子も参加させたいと思いました。こういうイベントが全国に広がってほしいですね。
昔はこの辺り、見渡す限り何もなかったのに、今じゃ森が戻って本当に良かった。孫と森歩きできるのが楽しみです。人も動物も一緒に祝える祭り、若い人たちがつないでくれるのがうれしいですな。
地元の高校生も植林活動に参加したって最高です!SNSで森の声をシェアしてるところも現代っぽくてイイ。大学でも今度『森祭り』やりたいな~って思いました。見習いたいです。
川の水がきれいになって魚も増えてきて、本当にありがたいわ~。お祭りの日は子どもたちの笑顔がいっぱいで、リスまで見にくるなんて最高!これからもみんなで森を大事にしていきましょうね。
本物のエゾリスがコンサート聞きに来たなんて、ちょっと映画みたいでびっくり(笑)だけど、こういうふうに動物と人が自然に集まる場ができるのが平和の証拠な気がします。次回の『大合唱』企画、今からワクワクしてます!