奇跡のナイトゲームが生む絆 ストリートバスケが照らした春の夜

夜の河川敷バスケットコートで、年齢や国籍の異なる多くの人々がサークルを作ってフリースローを見守っている様子。 ストリートバスケットボール
春の夜、ライトアップされた特設コートを囲み、バスケ仲間が一体となってフリースローに声援を送る光景。

春風が心地よく吹く土曜の夜、徳島県の河川敷に設けられた臨時バスケットコートで、忘れられないコミュニティイベントが開催された。ナイトゲームの合間、年齢も国籍も超えた100人超のバスケ仲間がフリースローの輪を囲み、それぞれが小さな奇跡を分かち合った。

ライトアップされたコートに最初にボールを持ち込んだのは、会社員の桐生健斗(34)だった。SNS上で「夜のストリートバスケで気軽に繋がれる場所を作りたい」と友人たちに呼びかけたことから、瞬く間に話題となり、地元のスニーカーヘッズから中学生チーム、シニア世代の女性バスケットクラブまで多様なメンバーが集結。「スポーツには壁がないんですね」と桐生さんは笑う。

イベントのハイライトは、フェイクプレイコンテスト。普段は敵同士として戦うミニバス少女・青木ことね(12)が、見事なノールックパスを披露し大歓声を浴びた。忘れかけていた無邪気な楽しさに、観客は大人も子どもも一緒に拍手。大学生の橋本ルーカス(20)は「コミュニティイベントでここまで心が一つになる経験は初めて。初対面の高校生に、即興の技を教えてもらえたのも嬉しかったです」と振り返る。

夜が深まると、コートサイドの「バスケ仲間交換ノート」が賑わった。ページには、参加者の夢や応援メッセージがびっしりと書き込まれている。「来年は家族みんなで3×3をやりたい」「知らない人とも一瞬で仲間になれる、バスケ最高!」といった声が相次いだ。イベント実行委員長の福山美菜(42)は「最初は小さな集まりになると思っていたけれど、SNSの拡散で全国から集まってくれて驚きました。フェイクのジャージで全員集合写真を撮れたのも、バスケ愛がなせる奇跡です」と語る。

参加者たちが自慢のスニーカーを見せ合う「スニーカーヘッズ交流タイム」も大盛況。レインボーカラーのシューズや自作ペイントの逸品が並び、地域の子どもたちも「いつか履いてみたい!」と瞳をきらめかせた。「それを貸してくれた人と、もういつの間にか友だち」という声も聞こえる。

「バスケは言葉がいらない友情のスポーツ」と徳島大学スポーツ心理学教授・早瀬良明(53)は語り、「今回のようなナイトゲームが、地域の絆や多世代交流の原動力になると感じます」と分析する。イベントの終わりには、初参加の留学生アルフレッド・カリー(25)がフリースローを決めて、全員が自然に拍手。見知らぬ人同士が肩を叩き合い、夢のような一夜を胸に刻み合った。

街のコートが、ただの遊び場から笑顔と優しさを繋ぐ魔法の場所へ――。バスケットボールが教えてくれた“仲間の輪”が、静かな春の夜に無数の希望を灯し続けている。

コメント

  1. こんな素敵なイベントが近くであったなんてびっくりです!親子でも参加できる雰囲気ですごく温かいなあと思いました。来年はぜひ子どもを連れて参加したいです。

  2. 記事を読んで青春の記憶が蘇りました。年齢や国籍を越えた交流、本当に素晴らしいですね。見知らぬ人と肩を組めるバスケの力に感動しています。大人も混ざれる機会、次回はチャレンジしたいです。

  3. めっちゃ楽しそう!こういう地域のイベントって、正直参加しづらいイメージだったけど、みんなで盛り上がれるのいいですね。フェイクプレイコンテスト、観に行きたかったな~。

  4. 普段静かな河川敷に、笑い声や拍手が響いていたのを思い出しました。地域がこんなに一体になれるなんて、すごく誇らしいです。イベントの力ってすごいですね。

  5. I joined the event and felt so welcomed! Even though my Japanese is not perfect, basketball let me make friends easily. ありがとう、みんな!また会いましょう!