能と盆栽、尺八で結ぶ縁 大花火とともに和服パレードに3,000人集う

薄暮の中、色とりどりの着物を着た人々が通りをパレードし、背景には夏の夜空に花火が上がっている様子。 伝統文化
和服姿の市民たちが花火とともに夏の夜を彩った「星の和フェスティバル」。

夏の夜、青森県で伝統文化が鮮やかに花開いた。弘前市で開催された「星の和(なごみ)フェスティバル」では、能楽師や盆栽職人、尺八演奏者が一堂に会し、市民による和服パレードや大規模な花火大会も同時開催された。世代や国籍を越えて多くの人々が参加し、和の魅力を再発見する温かな時間が流れた。

祭りは午後4時、「和」をテーマにした能の舞で幕を開けた。能楽師の浅井春馬(42)は、色鮮やかな着物に身を包んだ小学生たちと共演。「雅やかな舞を通して、“思いやり”の心を未来に引き継いでほしい」と語った。舞台横には地元の盆栽クラブ会員約70人が、見事な松や梅の作品をずらりと展示。高さ30cmのミニ盆栽が並び、来場者は子どもから高齢者まで思わず足を止め、作品に触れる体験コーナーも盛況だった。盆栽職人の中谷寿之(58)は「自宅で盆栽を始めた小学生が育て方を教えにきてくれた。伝統がこうして受け継がれ、優しい連鎖が生まれるのが何より嬉しい」と笑顔を見せた。

夕方になると、五所川原高校の尺八部員たちが合同演奏。そこに偶然、海外から観光で訪れていたオーストラリア出身のマーク・ウィリアムズ(会社員・34)が飛び入り参加し、自作の竹笛で即興の合奏を披露する一幕もあった。高校2年の八嶋葵さん(17)は「伝統は違っても、音楽を通じて“笑顔でつながれる”と実感しました」と感動を語る。SNSには「尺八と竹笛のセッションが最高」「こんな一期一会、また体験したい!」など感動のコメントがあふれた。

メインの和服パレードには、キモノ姿の市民ら約3,000人が大集合。思い思いの帯結びや手作りの飾りで彩られた姿は圧巻だ。パレードの先導を務めたのは大学生の鈴木咲良(20)。「祖母の大島紬を借りました。普段は照れ臭いけど、この日は街じゅうに“和”のやさしさが広がって、みんなが笑顔でした」と語る。当日は海外報道陣も多数取材に訪れ、世界約20カ国の人々も着物や浴衣で練り歩いた。

夜空に大輪の花を咲かせた花火大会では、地域のボランティア団体「つむぎの会」が、高齢者や車椅子利用者のための特設観覧席や、子どもたちのための「光る花火うちわ」配布といった心配りを見せた。「誰もが一緒に楽しめるお祭りに」という思いが地域の絆となり、来場者たちからも「普段疎遠だった隣人と話すきっかけになった」「大人も子どもも、優しさでつながった気持ちになった」といった声が聞かれた。

専門家の千葉大学・岩瀬桂教授(伝統文化教育)は「地域が一丸となって伝統の知恵や絆を現代に継承する素晴らしい事例。お互いを思いやる小さな工夫が、文化を未来へと引き継ぐ原動力になる」とコメントを寄せた。

夏の星空の下、能の響き、盆栽の緑、尺八の音色、そして色とりどりの和服と花火が、人々の心にかけがえのない思い出を描き出した一夜だった。

コメント

  1. 子どもと一緒にこんなお祭りに参加できたら、思い出に残るだろうなと思います。伝統文化に触れながら、世代を超えて交流できるって本当に素敵ですね。うちの子も盆栽作りに興味持ってくれそう!

  2. 若い人たちが和服を着て街を歩いたり、盆栽や能に触れる機会があるのは嬉しいことです。昔はよく町内でもこういう温かい集まりがあったものですが、時代が変わっても人の心は繋がるんだなぁと懐かしくなりました。

  3. めっちゃ行ってみたくなりました!海外の人も一緒に盛り上がるとかめっちゃグローバルでアツいっす。自分の町でもこんな企画やってほしいなー!尺八と竹笛セッションの動画、見てみたいです!

  4. 弘前って素敵な場所だなって改めて思いました!誰もが楽しめるような工夫、美しい街の景色、ボランティアの方々の優しさ…読んでるだけで心がほっこりしました。来年は家族で絶対見に行きます!

  5. 尺八部もカッコいいし、海外から来た人が竹笛で即興って、まるで映画のワンシーンみたい!伝統音楽って難しいイメージあったけど、みんなで楽しめるものなんだなって思いました。自分も楽器がんばろうって元気もらえました♪