“笑顔の輪”がつなぐまち 自治会発・やさしさリレー祭りに奇跡の連鎖

住宅街で子どもと高齢者を含む住民たちが、バッジを手渡しながら笑顔を交わしている様子。 地域社会
やさしさバッジを通じて住民同士の絆が広がる美濃台の温かな光景。

人と人のつながりが希薄になりがちな時代、岐阜県美濃市のとある住宅街にて、“やさしさリレー祭り”と名付けられた地域イベントが開催された。住民たちの温かな心が呼び起こした数々の奇跡的な出来事が、町中に笑顔と感動を広げている。

今回のイベントを発案したのは、美濃台自治会の会長である中田義晴さん(54)。「家の前を通る人同士も挨拶しなくなってきた。みんなの心にもう一度“笑顔”を取りもどしたい」と、自主的に立ち上げたプロジェクトだ。住民一人一人に“やさしさバッジ”が配られ、誰かのためにちょっとした善意を実行すると、次の人にバッジを譲り渡すという趣向。これが思いもよらぬ連鎖を生むこととなった。

祭り初日、佐藤理沙さん(主婦・38)がご近所の高齢男性・村松俊一さん(78)の玄関先で、息子・悠斗くん(9)と一緒に草むしりを手伝ったのが、“やさしさの第一歩”だった。村松さんは感謝のお返しに、自家製の野菜袋を理沙さん宅へおすそ分け。その野菜が翌日、悠斗くんの同級生・相馬葉月さん(10)の誕生日パーティーで使われた。参加していた保育士・岡本誠也さん(29)は「この町には、人の優しさが自然と集まってきますね」と話し、SNSにも“#美濃台やさしさリレー”の投稿があふれる事態となった。

やがて“やさしさバッジ”は、普段はあまり接点のなかった若年層や転入者にも広がる。新しく引っ越してきた営業職の田村美加さん(32)は、「知り合いがおらず不安でしたが、町の子どもたちがすぐ“おはようございます!”と声をかけ、バッジと手描きのメッセージカードを渡してくれたんです」と、目をうるませる。自治会内のネット掲示板にも、《道端で落とした財布を知らない方に届けてもらった》《子どもが迷子になったとき、皆で探してくれた》など、善意のエピソードが次々に書き込まれた。

また、このリレーの“奇跡”ともいえる出来事も。お祭りの終盤、地域の小学生たちが公園の落書きを清掃していると、一羽の野生のインコが現れた。以前から行方不明になっていた住民のペットだったことが判明し、インコは無事に飼い主の藤林雅彦さん(45)宅へ帰還。藤林さんは「皆さんのおかげで、また家族と過ごせます」と涙ぐみ、町は温かい拍手に包まれた。

専門家の社会心理学者・郡司理恵子教授は「小さな善意の積み重ねが、地域の結びつきを強くし、ささいな偶然を重ねて大きな幸せへとつなげる好例です」と評価する。

SNSでも“この町に住みたい”“やさしさが巡る世界になってほしい”といった声が投稿され、イベントの輪はさらに広がりをみせている。市外の自治体からも、見学や導入希望の問い合わせが続くなど、美濃台発の“やさしさリレー”が、地域にしあわせの連鎖を起こしている。

コメント

  1. 読んでて涙が出てきました。普段、子どもと一緒に挨拶をしながら登校するけれど、やっぱりこういう地域の温かさがあると子育ても安心だなと思います。私の町でも、やさしさリレー祭りがあったらいいなあ。

  2. いやー、なんか素直にすごい!普段SNSとかでギスギスした話題が多いけど、やさしさバッジの連鎖とか、みんなが自然に協力できる雰囲気、めっちゃ憧れる。自分も身近な人にやさしくありたいです。

  3. 美濃市のみなさん、素晴らしいことをされましたね。私も昔は隣近所でよくおすそ分けをしたものですが、今はそういうことも少なくなって寂しく思っていました。もう一度、地域のつながりが戻ってくるといいですね。

  4. こういう話、ホントにあるんですね〜!なんか最初は新しい町で馴染めるか不安だったけど、この記事読んでたら、『ちゃんと声かけてみよう』って思えました。やっぱり人の優しさって連鎖するんですね。

  5. インコまで戻ってくるなんて奇跡みたいだ!みんなで助け合ったり、知らない子同士でも笑いあえる町ってすごく楽しそう。美濃台の人たちみたいに、僕も友達にやさしくしたいなって思ったよ。