雇用不足と働き方の多様化が進む中、鳥取県で始まった“テレワーク村プロジェクト”が思いがけない温かな連鎖を生んでいる。地元住民と都市部からのワーカーが手を取り合い、働く喜びと地域の絆を同時に育んでいるという。
鳥取県倉吉市南部の「まほろばの丘」は、長年人口減少と人手不足に悩まされてきた。そんな地域に、IT企業に勤める柏木さつき(34)とその家族が移住してきたのが始まりだった。テレワークを許可する勤務形態を活かし、彼女は自宅で仕事を続けながら、近隣の農家・三谷春彦さん(59)の畑の手伝いも週に数回行うようになった。オンライン会議の合間に野菜を一緒に植え、とれたてを地域の食堂へ運ぶ日々。「知らない土地で仕事と子育てを両立できるなんて思いもしませんでした」と柏木さんは笑う。
この取り組みを知った他の企業も動き出し、リモートワーク枠の求人に“副菜ボランティア体験”や“子ども見守りスタッフ”など、地域連携型の独自メニューが加えられた。希望者には週1日、地元企業や福祉施設での体験が推奨されるユニークな制度だ。これによって、子育て中の主婦や介護を担う中高年も積極的に参加。介護職の伊藤紗南(46)は、「ここでの働き方はお互い様の気持ちが自然と生まれます。オンラインでキャリアアップを目指しながら、地域の障がい者支援にも関われる」と話す。
SNSには「都会のミーティングでZoom越しに聞こえるトリの声が癒やし」「チームの中に農作業仲間が増えました!」など投稿が相次ぐ。テレワーク自体が孤独の引き金になりがちな時代に、まほろばの丘は“デジタル×リアル”の新しい働く幸せを体現し始めている。
鳥取県雇用促進協議会の野村直道会長(58)は「女性や高齢者の社会参加、ジェンダーギャップの解消、地域の活性化と同時に労働力不足も解決する鳥取モデルが全国へ広がれば」と期待を語る。小さな出会いが大きな経済を動かす——そんな優しい連鎖が、今日も里山のあちこちで生まれている。
コメント
小さい子どもがいるので、こういう働き方が広がるのは本当にありがたいです!仕事と子育て、どちらも大切にできるって理想ですよね。鳥取の皆さんの温かさに感動しました。
昔は村のみんなで助け合って暮らしていたものだよ。今の世の中でこんな優しい仕組みができるなんて、胸がぽかぽかするねえ。若い人たちとも交流できて、羨ましいと思いました。
こういうの自分の地元にもできたらいいなぁ!リモートワークって一人で黙々とやるイメージだったけど、地域とつながる形もあるなんて新鮮です。将来、地方で働くのもアリかもって思えました。
うちの近所でも最近、都会の方がよく歩いてるな~と思ってました!みんな明るくてほんとにいい雰囲気。子どもたちもいろんな大人と関われて楽しそうですよ。応援してます!
テレワークは孤独になりがちで悩むことも多かったので、この記事を読んで勇気をもらいました!副菜ボランティアとか素敵なアイデアですね。いつか参加してみたいなと本気で思いました。