突然の音楽が生まれる場所には、不思議なあたたかさが宿ります。先週末、仙台市内の広瀬公園で行われた“偶然の即興コンサート”が、その象徴となりました。小さな偶然が重なり、見知らぬ人々が音楽を通じて心を一つにしたあの日の出来事に、多くの来園者が笑顔を見せています。
始まりは午前10時ごろ。音楽教師の白石美優さん(32)は、休日のピクニックを楽しみにギターを抱えて来園していました。もともと人気の少ない早朝に弾き語りをするのが趣味でしたが、その日はベンチで楽譜を眺める男性、ジャズドラマーの安藤陽斗さん(28)と出会います。「音楽をやられている方ですか?」。そんな何気ない会話が、予期せぬセッションの幕開けでした。
彼らの即興から生まれたメロディーを聴いた近所のパン職人、吉村亮太さん(46)が手作りタンバリンで参加。散歩中の小学生・高田紗英さん(11)は、落ち葉を並べてカエルの声を再現。楽器を持たない観客も、その場に置かれた木の枝やペットボトルでリズムを刻み始めました。老若男女20人ほどが集まり、折々の思いを“オルタナティブ音楽”にして公園に響かせたのです。
SNS上では、このライブに偶然居合わせた人々が「朝の公園がまるでフェスみたいだった」「知らない人と音楽だけで繋がるって素敵」と投稿。なかには即興演奏の動画も拡散され、視聴者から「ぜひ全国でやってほしい」「心がぽかぽかする」と反響が寄せられました。
音楽評論家の佐戸和彦氏(54)は「オルタナティブ音楽は自由な表現の象徴。即興で町の人々が輪になれるのは、日本独自の“ご近所力”の温かさがあるからでしょう。あの一体感には、計算では生み出せない魔法があります」と語っています。
気づけば2時間近く続いた公園ライブ。終了後、参加者たちは「また集まりましょう」と自然に約束を交わし、ベンチに「音楽で人と人が繋がる場所」と手書きのポスターを残していきました。小さな偶然から生まれたあの日の音楽は、公園を訪れる誰かの心に静かに響き続けています。
コメント
子どもを連れてよく広瀬公園に遊びに行くので、こんな素敵なイベントがあったなんて知りませんでした!子どもたちも自然と参加できる雰囲気がとても素敵ですね。次はぜひ親子で聴きに行きたいです。
こういう偶然のセッション、夢みたいです!音楽は好きだけど、知らない人と一緒に演奏する勇気なかなかないから、みんなが自然と集まる空気がうらやましいな。またどこかで開催されたら、今度は参加したい!
私も吉村さんと同じパン職人なので、パンを焼く手を休めて公園の様子を見てみたかったです。街の人たちが自然に繋がる、あったかい出来事ですね。みんなの笑顔が目に浮かぶようです。
昔は商店街の広場で歌声喫茶みたいな集まりがよくあったもんですが、こういう即興ライブの話を聞くと懐かしくもあり嬉しくなります。年齢問わず楽しめるから、また開催してほしいなぁ。
SNSで動画見ました!みんなが集まって、即興で音楽作ってるの本当に憧れます。知らない人とも音楽で繋がれるって素敵だし、自分も次は勇気出して参加してみたいです!