熱波に負けない砂漠の奇跡――咲き誇る“デザートローズ”と村人の小さな絆

日干し煉瓦の家のそばで淡いピンク色のデザートローズが咲き誇り、村人たちが嬉しそうに集まっている砂漠の村の朝の様子。 砂漠
奇跡の雨の翌朝、村に一斉に咲いたデザートローズと笑顔の村人たち。

猛暑と乾燥が続く中部の大砂漠で、小さな奇跡が村人たちの間に笑顔を広げている。長年“日干し煉瓦の家”とラクダの暮らしで知られる砂漠の村・月蒼村(げっそうむら)で、淡いピンク色のデザートローズ(砂漠のバラ)がオアシス一帯に一斉に咲いたのだ。

例年より厳しい熱波が訪れ、村の灌漑用の小川も干上がりかけていた頃のことだった。村の少年・西原勇大(にしはら ゆうた、12)は、村の外縁で“風に転がる不思議な石”を見つけた。不審に思い、祖父の西原昭三(64)に見せると、それは村でも滅多に見られないデザートローズの原石だった。それを機に、昭三は毎日、村の子供たちと涼しい朝のうちに石を水場へ運び、慎重に磨きはじめたという。

ところが、数日後、不思議なことが起きた。村の中央にあるオアシスの脇で、新芽がぽつぽつと芽吹き始めたのだ。昔から語り継がれる “デザートローズを磨くと恵みの雨がやってくる” という伝承を思い出した村人たちは、懐かしい言い伝えに胸を高鳴らせた。

そして迎えた新月の夜、普段は雲ひとつ見えない砂漠の空に薄い雲が流れ、一時的な小雨が村を潤した。翌朝、日干し煉瓦の壁には薄赤色のデザートローズが一斉に咲き、砂地もほのかに彩られた。誰からともなく村中に拍手が湧き起こり、ラクダ飼いの女性・佐竹沙羅(33)は「雨でラクダも嬉しそう、これほど幸せな朝は初めて」と目を細めた。

この出来事はSNSでも大きな話題となり、「村の小さな奇跡に勇気をもらった」「自然と人の善意が織りなす物語に涙」などのコメントが相次いだ。気象学者の牧野慧(41)は、「デザートローズは微細な水分変化に敏感。人が優しい気持ちで接すると、植物も応えてくれるのかもしれません」と語る。

村人たちは、この小さな奇跡を祝い、毎年6月を『デザートローズ祭り』と定めることにしたという。灼熱の乾燥地帯にも、人と自然が築く温かな物語が咲き続けている。

コメント

  1. 子育て中なので、こういう村のみんなで子どもたちと一緒に手を動かす話、本当に心が温まります。伝承を大切にしているのも素敵ですね。うちの子にも伝えたい幸せなエピソードです!

  2. いやぁ、昔はこんな話をよく祖父母から聞かせてもらったものです。雨のありがたみや、村全体で支え合う気持ち、懐かしくて涙が出そうになりました。月蒼村の皆さん、どうかずっと幸せでいてください。

  3. テスト勉強で疲れてたんですけど、この記事読んでもうひとふんばり頑張ろうって思えました!人のやさしさって、やっぱり大事だなぁ。デザートローズ見てみたいです!

  4. 近所の小さな花壇も、たくさんの手がかかわるほど元気になる気がして、この話に共感しました。村の皆さんのつながりが羨ましい!私も今度、町内の花植えに積極的に参加しようと思います。

  5. SNSで話題ってことで来てみたけど、ほんとほっこりした!自然も人の思いも、ちゃんと伝わるんだなーって感じました。こういうニュースもっと増えてほしいです。